転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。壱

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そもそもな話、本来花嫁となった女性は、あやかしの家で暮らすというパターンが大半だ。
あやかしの目の届かない所に行くのを嫌う…これは本能みたいなものだ。

私の場合は、初等部だったというのもあり、両親と離れるのは嫌だった。
だからこそ瑶太が時間がある時は、いつも私の様子を見に来ていた。


その頃は…お姉ちゃんに愛されている姿を見せつける…という醜い感情はあったっけ…？
うーん…普通にお父さんとお母さんに甘えたい時期だったのかもしれない…



まぁ、それが余計に柚子の孤独を加速させていたのだと思うと、罪悪感で一杯だ。
そうじゃなくても、ただでさえ両親は私に構ってばかりだというのに。



一度あやかしの花嫁になれば、絶対に離れられない。
どんなに女性が拒絶しても、逃れられない。

撫子様みたいな一族の当主、または苦渋の決断を下したあやかしの方から「花嫁の剥奪」を宣言しないとだし。



「いずれ花嫁でなくなるなら…そうだ！」



明日の様子にもよる…いや、目には見えてるけど
まずあの両親と一緒にいると、絶対に悪影響でしかない。

私がいつまでもここにいると、瑶太もここに来るのは必然。
仮に私が狐月家で住む事になっても、この家に多額の援助をするだろう。

つまり……花嫁の剥奪が遅ければ遅い程、狐月家の借金は膨らむも同然！


ならば手段は1つ…それは…！




「狐月家で、バイトすれば良いんじゃないかしら…!?」




借金がこれ以上膨らむのは勘弁。
原作では花梨が花嫁剥奪された後はどうなったか分からない。
分からないけど、狐月家から「散々俺達私達に迷惑かけやがって！花嫁でなくなったのなら、今まで援助した金返しやがれ！」という展開も大いに考えられる！

しかし狐月家に貢献して、そのお給料を家に送れば、膨れる一方の借金を多少は抑えられるだろう。

その上、働けば働く程、私自身のスキルがアップする！遠くへ飛ばされても、自立出来る力を身に着けられる！それで「今すぐかくりよ学園辞めろ」と言われてもこの際全然構わないわ！

それにお給料は、花嫁ではなく「ただの人間である花梨」に与えられたもの。
狐月家に貢献出来た正当な報酬は、借金に含まれないし多分！




「よーし……！」




明日、瑶太に無理を承知で頼み込もう。そしてあの両親とオサラバしよう。
狐月家の人達にも謝らないとだし…散々我儘で傲慢な態度を取って、迷惑をかけてしまったのだから。彼らに償えるチャンスでもあるし。頑張るぞ私！

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