転生したら妖狐の意地悪な花嫁でした。壱

瑶太と菖蒲と私 ページ28

とりあえず…
そこからは3人で美味しいケーキを食べ、楽しくお喋りをした。

こうして見ると、あやかしと人間には何の壁も感じられない。
学園にいる教師がムカつくとか、宿題キツイとか…

あやかし故に、人間の私には理解不能な点もあるけど、そんなに気にはならない。

年相応で、友達同士で遊ぶ…学生らしいじゃないか。


前世では、陰キャでお姉ちゃん以外全員敵だったからなぁ…
友達なんて1人もいなかったし。




まぁ、でも…



●あやかしの一族2人と人間1人
●人間は、妖狐の花嫁
●女性のあやかしと人間は親友同士
●駐車場に高級車



異様な点、濃過ぎるんだよなぁ〜…




「……」




瑶太も菖蒲も

こんな我儘な花梨を「花嫁」とか「親友」とか…




明日、か。




鬼龍院家はもう既に祖父母に連絡を入れているだろうし
今は…祖父母がお父さんとお母さんに連絡をしている頃かもしれない。




お祖母ちゃんは温厚だけど、お祖父ちゃんは堅物な方。
孫愛は強いけど、それは柚子お姉ちゃんにだけだ。
曲がった事は大嫌いだし、私に対しては怒髪天…まぁ一生許されない事したからな〜…




それに明日はいよいよ鬼龍院玲夜に会ってしまう。
漫画だと二次元だから美しく綺麗に描かれていたけど
生だと、とんでもない美貌と霊力…覇気……キャラに会いたいけど、同時に絶対にお目にしたくない気持ちもある。




「花梨ちゃん、何か1人で色々考えているね。ケーキも少しずつ食べてるし」

「菖蒲。お前はがっつき過ぎだ。花梨の様に上品に食べろ」

「えぇ？こうして羽を伸ばすのも高校生の特権なのに」




今更原作なんて簡単に変えられる訳ない。
柚子お姉ちゃんや鬼龍院家に媚を売るとか、狐月家や撫子様に許しを乞うとか…そんなの無理。
プライドが邪魔してる？違うわよ、そもそも許される立場じゃないからよ…




……




もし、このまま原作とは違ってお姉ちゃんの妨害をしなければ、少なくとも私は妖狐の花嫁でいられる。とりあえず破滅しないで済むのは承知の上。




だけどね瑶太。
やっぱり、私は貴方を…




……



帰宅する直前

扉を開けようとして…聞こえて来たのは、お父さんの怒声だった。
恐らくお祖父ちゃんと通話をしているのだろう。明日の…お姉ちゃんの件について…ここに伺うと。


昔は「またお姉ちゃんのせいで喧嘩が…」と実際彼女は悪くないのにうんざりしていたけど、今は違う。


自分の両親の姿を見て、何だか悲しい気持ちになっているのだ。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す