荷物を届けに ページ17
前世の記憶を取り戻すまでの私は、お姉ちゃんの悪口を散々言いまくっていた。
両親や瑶太に対してもだし、かくりよ学園の友達にも…
有る事無い事言っては、優越感に浸っていた。
……人を、姉を見下して、自分よりも格下だと決めつけて…本当に、屑としか言いようがない。
…昨晩の瑶太の恐ろしい所業。
瑶太があんな真似をしたのは、私がお姉ちゃんに対して快く思っていないのが要因なのだろう。
あやかしは人間よりも遥かに未知の存在で、恐ろしくて…強い。
けれど、私の様な花嫁という存在は、そんなあやかしの言動を操る事も可能だ。
………現に、妖狐の中でも特に強いあやかしの瑶太が、私を叩いたという理由で、話をしっかり聞けば私が悪いというのが分かるというのに、お姉ちゃんに霊力をぶつけたのだから。
でも……それでも私は……
デジタル時計を見ると、もうすぐ時刻は13時…約束の時間だ。
「よし、行かないと……って、え…」
「花梨、大変だっただろう。早く済ませよう」
玄関の方へ向かうと……何と瑶太がいた。
「え、何で瑶太まで…」
「…?お前は俺の花嫁なのだから、当たり前だろう?」
いくら何でも甘やかし過ぎ…と言いかけて、それは「当たり前」だという事に気付いた。
……花嫁というのは、力のないただの人間。
強ければ強いあやかし程、選ばれた花嫁はあやかしの「弱点」になる。
人間と違って、あやかしは敵対している家同士があちこちで起こるし、いつ戦争になってもおかしくない。
強いあやかし程、花嫁という存在は家の最大の弱みになる。
だからこそ、花嫁には必ず護衛というものは必要なのだ。
学校へ行く時も、瑶太が毎朝迎えに来てくれるのはそういう事情もある。
その辺は甘やかしてくれるから…という訳ではない。
街へ歩くのも一苦労だし…今までの花梨は、一応理解はしているけれど、我慢出来ない性格故に瑶太や家の人達を連れ回していた気がする。
…瑶太は嫌な顔1つしなかったけど、狐月家の人達は内心どう思っていたのだろう。
外へ出ると…使用人である男の人が、いかにも高級車の扉前で待っていた。
無表情で…どう見ても私に対して快く思っていないのは明確。
「どうぞ、瑶太様。花梨様」
「ああ」
「…すみません、今回も有難うございます」
「……え?」
「えっ?」
?…何故使用人の男性は、少し驚いた表情をするのだろう。
記憶を取り戻す前も、一応はお礼を言っていたのだけれど…
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氷柱(プロフ) - 真理さん» 姉妹の両親に関しては、原作でもスカッとしましたが、あれ以上に色々とやりまくる予定です。もう本当許せませんもん。しかし瑶太に関しては賛否両論覚悟ですが、救済措置を与えようか考えています。まぁこの後ドキツイお仕置きを受けて痛い思いをさせるのは確定ですが。 (12月6日 23時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - 氷柱さん» スカッととクズ共(両親と瑶太)地獄落ちの末路、期待していますよ(ニヤリ) (12月6日 21時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - 真理さん» コメント有難うございます。原作でも、家族の縁を切ったにも関わらず柚子に迫りましたからね…ある意味どんな幽霊や妖怪よりも恐ろしい人間です。 (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
氷柱(プロフ) - シャリファさん» 勿論瑶太は色々とやらかしてますが、更に原作と違って、玲夜の花嫁だと知った上で柚子を害そうとしましたから、それはもう恐ろしいなんてものじゃないですね… (12月5日 22時) (レス) id: 454fdc4e71 (このIDを非表示/違反報告)
真理 - こんな奴らと、早く縁を切ってほしいね。 (12月5日 20時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷柱 | 作成日時:2023年7月30日 0時