両手に嘘を。3

98.教師の責任《S》 ページ6

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倉持の弁当を作ってきた意味は、独身男の寂しい食生活を哀れんで



ただ、それだけだ



他には何の意味なんてあるはずもない



なのに俺は、今朝の倉持の様子のおかしさに

あんなメモまで残してきて




────どうかしてる





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『何か心配事でもあったら、いつでも相談に乗るから。櫻井』





相談という言葉でくくってしまえば

それは担任教師として、さも責任感からの言葉のようで聞こえはいい




だけど、もしかしたらそれ以外の意味も込めて残してきたんじゃないかって

自分の中に疑念も残されていた





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晴れない気持ちが、いつまでも残る





倉持は相葉と付き合ってるんだ



その前に、俺の生徒だ


二人の関係を静かに見守っていればいいじゃないか


無関係な教師が口を出すほど野暮ったいことはない





考えてみろよ

学生時代には、たとえ親兄弟からだって

恋愛絡みのことに口を出されることほど、嫌気をさしていた事があったはず




ましてや俺は、ただの担任だ





必要以上に私生活に関わることはマズイと思いながらも

担任だからと理由をつけて関わることを当然だと思おうとしてる




どこかで彼女を特別視している自分に、呆れるような笑いが溢れそうになって

誰に見られているわけでもないのに、口元を手のひらで隠した





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高校生は、子供のようで子供じゃない



そしてまだ、大人にもなりきれない



倉持が俺に懐いてきているのは

そんな不安定で多感な時期特有の気まぐれだ




今までだってそんな生徒はたくさん見てきたし、それが当然のことだって気にもせずにやり過ごしてきたじゃないか




生徒40人のうちの1人



ただ、それだけだ────




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