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ドラックストアでメモ用紙を片手に、速水先輩は次々に必要なものをカゴに放り込んでいく
そんな速水先輩の後ろを、俺は金魚のフンみたいにくっ付いて歩いてた
大量の湿布薬や絆創膏
粉末タイプのスポーツドリンク
こんなに必要か?って思うぐらい、カゴの中を埋め尽くしていく
速水「こんなに使うの?って思ってるでしょ(笑)」
和也「はぁ……まぁ……。」
速水「人数多いから、これでもあっとゆー間に無くなっちゃうのよ?」
まるで俺の心を見抜いてるように、今考えていた同じことを言い当てる
いつもみたいに「ふふ。」って笑うと、ちょっとだけ長いまつ毛を伏せて
深い呼吸をひとつ落とした
速水「あのね、二宮くん。実はね……今日、買い出しに付き合ってもらったのは相談したいことがあったからなの……。」
粉末タイプのスポーツドリンクの箱をひとつ握り締めて
速水先輩は思っても無かったことを俺に切り出した
和也「相談……って……。」
速水「うん……実はね……?たぶん、わたし……ストーカーされてて。」
和也「……ストーカー?」
速水「誰にも言えなくて……困ってたの。」
それは本当に困った目をしたまま、速水先輩は俺を見つめた
ひとつ落としたため息が、急激に行く事の重大さを実感させる
和也「でも……そんな相談なら先に長瀬先輩にした方が……。」
速水「そう、なんだけどね?長瀬くん、受験も絡んでるから……あまり心配させたくないってゆーか……。それに……。」
そこまで話すと速水先輩は我に返ったみたいに落としていた視線を上げて
「なんでもない(笑)」って、ため息混じりに笑った
ストーカーなんて、ドラマとかニュースとか
そんな身近な事件なんかじゃないって思ってた
だけど、今こうしてそれに困ってる速水先輩がいて
俺を買い出しに付き合わせた理由に『信頼』なんて言ったのは、こんな理由に繋がってたのかってやっと気づいた
速水「学校じゃ、こんな話なんてできないし……友達に話したって気のせいだって笑われちゃうし……。」
和也「誰なのか、心当たりはないんですか?」
速水「…………。」
ぎゅっと噛み締めた唇が、速水先輩の気持ちを全て表してる気がした
確かに男の俺からしたら
恋してる俺からしたら
ストーカーしたいって気持ちも分からなくは無い
だけど、速水先輩がそれに苦しんでるのなら────
一肌脱ぐのが、男ってもんでしょ
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四葉(プロフ) - 咲さん» 言われるとほんと、ピュワー(笑)初めての恋だからなかなか攻めてはいけないかな……ぐらいで書いてたんですけど(笑)手つなぎ第一歩。次に番外編を書くときはちゅーぐらいさせたいんですけどね( *`艸´) (2015年6月21日 22時) (レス) id: 8fb8ce72d4 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - やっこさん» 初めまして(〃艸〃)ありがとうございます!黒い(`・3・´)さんも書いてるのはとても楽しいんだけどね(笑)今回は黒い部分は封印して、爽やか一直線(ちょいダサ)でいけたらなぁって思ってます( *`艸´)完結する頃に(`・3・´)さんの人格変わってませんように(笑) (2015年6月21日 22時) (レス) id: 8fb8ce72d4 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 奈穂さん» 全巻読んだのか私……よく覚えてないんだけどー|ω・`)全国制覇したのかしらん?押入れにしまっておいた(つもりだった)のに親にいらない本と思われて捨てられちゃったんだけどね(´;ω;`) (2015年6月21日 22時) (レス) id: 8fb8ce72d4 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - ピュアピュアで可愛い二宮くんのお話ありがとうございました(*´艸`*)手を繋ぐのに物凄いエネルギーと勇気を使って行動におこす、それも青春の1ページですね(*´艸`*)そんな可愛い想い出私も欲しかったです(笑)番外編も期待してます♪本編の続きも楽しみにしてます♪ (2015年6月21日 7時) (レス) id: edca62902a (このIDを非表示/違反報告)
やっこ(プロフ) - 四葉さんのお話を読ませてもらっているのにコメはきっとはじめまして。黒翔にどっぷりハマって爽やか翔のこのお話にもドキドキして楽しんでいます♪ニノちゃんのその後も読んでみたいです~番外編でも長編でも楽しみにしてます(*^^*) (2015年6月21日 7時) (レス) id: 7f9aa0c8ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四葉
作成日時:2015年5月20日 18時