両手に嘘を。3

110.オトナ色 ページ18

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オトナの世界



私にはまだ知らない、未知の世界




オトナになることを急ぎながら

どこかでオトナになり切れない私たちは

オトナから見たら、結局はまだ子供でしかない




それでも、誰かよりも一歩先行くことに感じた優越感に浸りたくて

必死に背伸びして

つま先立ちの不安定さを必死に堪えて

コドモの殻を脱ぎたがってる




それは私も同じ



そんなに必死になる必要なんてないのにね

そんな私たちはオトナから見たら、きっと滑稽でしかない





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A「櫻井先生？」

翔『ん？』

A「先生から見たら、わたしは……まだコドモに見えますか？」

翔『ぁー……16、17の頃なんて、子供ってゆーよりガキなんだろうな(笑)』

A「ガキ……？」

翔『言っただろう？俺もそれぐらいの時は尖ってたって。全てが気に入らなくて不満に思う時期もあったんだよなぁ。今思うと、あの頃の俺はただのクソガキだよ(笑)』





櫻井先生の10年前を想像して、何だか気持ちがほころんでくる


ピアスの話をしてくれた先生のどこか照れ臭そうな顔が

今もまだ心の奥に住み着いて離れてはくれなかった





翔『金髪にしたり、ピアス開けたり、校則なんてクソ食らえって思ってた時期(笑)』

A「……ふふ(笑)」

翔『なのに今は校則を守らせる教師なんてしてるんだからなぁ(笑)』

A「会ってみたかったです、その頃の櫻井先生に。」

翔『俺も……10年前に今の倉持と会いたかったよ。』

A「……ぇ……？」





櫻井先生の言葉の意味が、いろんな風にとらえられて

戸惑いと動揺

そしてその中に嬉しさも生まれてる




少しの恋心に気づいた今、思わせぶりな櫻井先生の言葉は

私の中で都合いいように変換されてる




翔『あ、いや……なんっつーかさぁ？16、17の頃の俺から見たら、倉持はすごく大人に見えてたんじゃないかなぁって。』

A「…………。」

翔『雰囲気がさぁ、落ち着いてんだろ？他の子より。』

A「そんなこと……ないです、よ？」

翔『いや、あるよ(笑)充分に。だって、時々見せる顔が────。』





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