11.幻想桜 ページ11
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静まり返る教室の中、先生はちょっとだけ安心した顔を見せると
クルリと黒板の方を向いて
自分の名前を書き始めた
櫻井翔
そう黒板に大きく書いて、満足そうに振り返った
手についたチョークの粉をパンパンと叩いて
櫻井翔先生は改めて教卓の前に立った
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翔「本日より、このクラスの担任をすることになった櫻井翔です。さっきの新任式でも言いましたけどクラス担任を持つのは初めてで、だいぶ緊張してるんですけどね？」
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それほど広くはない教室の中
櫻井先生の声が、どこか遠くに聞こえてた
ここにあるのに私の意識が、ふわふわと浮遊してる
翔「えーっと……受け持つ教科は社会で、世界史を専門と────。」
櫻井先生の声はこんなにもはっきりと聞こえてくるのに
内容がまるで入ってこない
脈打つ自分の心臓の音ばかりが聞こえて、自分が自分じゃないみたいだった
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ふわり
開けっ放しの窓から入り込む風に紛れて
桜の花の香りが漂う
ここから見えるわけでもないのに、満開だったグラウンドの桜の花びらが
はらはらと風に揺られて落ちていく気がした
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ピンク色に散る花びらが教室の窓を抜けて風に舞う
花びらは櫻井先生の胸の中に、吸い込まれるように消えていった
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────これは、幻想
白昼夢────？
起きているのに眠っているような
非現実的な空想
私はここにいるのに
まるで別の場所にでもいるような────
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それが恋の始まりだとは、このときの私には思うこともなく
幻のように見えた桜の花びらは私の想いで
それが静かに櫻井先生の中に消えていったんだと
だいぶ後から気づくことになる
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さち(プロフ) - 四葉さん！はじめまして！さちと言います。もーﾄﾞｷﾄﾞｷが止まらないです☆私は四葉さんの表現する情景とかがすごい好きです。自分で想像できますもんね？どんどん読み進めていきたいです！いっぱいﾄﾞｷﾄﾞｷさせて下さい（笑） (2015年9月7日 11時) (
レス) id: c724a1f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - kukuさん» 私も学生に戻りたいー！なんなら人生やり直したいー！そんな諦めの人生送ってますけど、妄想だけは諦めてないZE☆ (2015年4月23日 20時) (レス) id: 8fb8ce72d4 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - まみさん» 降臨！降臨っていえば帝王降臨……みたいに感じちゃうんだけど(笑)黄昏る教室ではいつもの教室とはまたちがう雰囲気で……ってことで( ＊｀艸´) (2015年4月23日 20時) (レス) id: 8fb8ce72d4 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - YOHさん» ありがとうございまーっす( *｀艸´)なんとなーくな雰囲気を出したいだけのために無駄な背景描写までしちゃうんだけどね！いや、きっと無駄じゃない！って思ってる！！ (2015年4月23日 20時) (レス) id: 8fb8ce72d4 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 奈穂さん» 保健室の先生ってEROいイメージしかないんだけどねー、実際保健室に行ってもEROさなんてこれっぽっちもない年配の先生がいたりして|ω・`)穏やかな保健室の空気に惑わされちゃう！ (2015年4月23日 20時) (レス) id: 8fb8ce72d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四葉
作成日時：2015年3月28日 17時
