不器用な優しさ 弐【高杉晋助】

２９侵入 ページ5

【Asaid】



夜の港では銃声や聞き取れない悲鳴やら叫び声やらでとても静かとは言えない




戦艦(なか)での処理に追われているのか警備は薄く入るのはさして難しくはない









出向前という訳でもないのにここまで警備を手薄にするとは…









身を隠しながらも人の集まっているほうを目指した





一人で何十人もの相手をしていたのは



赤毛の傘を手にしている少女






神楽？






「ヅラァ、どこにいるアルか」




「いたら返事するアル」






撃たれた傷を庇いながら叫ぶ





「ここにいるんでしょー」





やっぱり小太郎がここに？









片足を引きずりながら船内に消えていく神楽




その後を追って金髪の女も中に入る








すぐに銃声が響き





それを合図に人が引き始めた









しばらくして静まり返った甲板









残ったのは派手な着流しに煙管を吹かす男一人








「ほォ、夢は見てみるモンだなァ」






「わざわざ攫われに来たのか？かぐや姫さんよォ」





大きな月を背に置き紫色の髪を揺らす彼は本当に絵になる





「かぐや姫？」

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