不器用な優しさ 弐【高杉晋助】

４８不器用 ページ23

【高杉said】





「晋助」





部屋に入るなり効果音がつきそうな勢いで飛びついて来たA




理由は大方見当がつくが…







「変わらねェな、お前は」






攘夷戦争時代の時も恋仲にありながら二人で過ごす時間は少なかった



原因はいくつかあるが、一番は俺にある。





鬼兵隊総督として常に戦を優先していた。



Aはそれについて咎めたことは一度もない。







「寂しかった」





たまに二人の時間ができると決まって甘えてくる。




相当我慢させてしまっていたのだろう。






「いつまでそうしてる気だ」






決して離れろ、という意味ではなく後ろからではなく正面に来いという意味だ





「ん」





Aには今更誤解はされないが、膝の上に座らせてやれば着流しを握りしめて離そうとしない




昔ならこのまま泣き出してしまうこともあったのだが







髪を撫でながら十年という時間の重みを再確認した。








「A、今ならまだ戻れる。お前が望むなら…」





幕府連中に見つかる前に地球に






と言いかけたのだが








「私が望んだのは、あなたと共にあること」






「A…」






攘夷戦争時も戦場に出る事は少なかったAはほとんど顔を知られていない。



鬼兵隊に身を置けば追われる立場にになるのは確実





できる事なら危険な目には遭わせたくない







「もう…離れたくない」






「…あァ、離さねェ」







結局折れるのは俺の方か

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