不器用な優しさ 弐【高杉晋助】

４２脱出 ページ18

【Asaid】






後方にまで迫っている天人たちを斬り伏せ、銀時たちを待った





「離してエリー！」



「銀さん！！」






「時間がない!早く！」





「Aさん？なんでここに」




銀時と小太郎がいない…




「悪いけど説明している時間はないの」





「でも銀ちゃんがまだ」








「退路は俺たちが守るって桂さんが…」







「なら、その俺たちに私も入ってるの。あいつらは絶対に大丈夫だから


今は言う事聞いてね」






この状況に焦っていたのか余裕のなかった二人も

少しは落ち着いたように見える






「…村田鉄子さんね？


この刀。あなたのお父様に譲っていただいたものなの」







「え…？」





「こんな時に本当に申し訳ないと思っているけど…きっと今を逃せば離せない事だから」






「仁鉄さんが亡くなる前に私が譲り受けた。


正真正銘の村田仁鉄最後の刀、本物の紅桜」






「紅桜…？」





鉄子はもちろん。話を聞いていた者たちも驚きを隠せずにいた。






「遅くなってしまったけど、お返しするわ」






両手で鉄子に差し出すが、受けとろうとはしなかった。





「…あなたが持っていて」





「前に聞いたことがあった。魂を込めた剣を打てば少しはマシに使ってくれる人が出てくるって」





「だから…あなたが使って」









――あんたなら少しはマシに使ってくれるんじゃねぇかってな









「…ありがとう」

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