不器用な優しさ【高杉晋助】

８　恋人 ページ9

「高須？」


「あ、やべ」



つい口を滑らせて、Aに止められなければ確実に

攘夷派と勘違いされて戦闘になっていただろう。



「別に何もされないわよ」



「いやあいつのことだ。

絶対なにかしら」




Aがうまく誤魔化しているので俺もどうにか乗っかって誤魔化す。


「生きているかも分からないのに？」



「恋人か？」



「まぁね


けどもう十年は会ってないかな……」





「……。」







「もうやめておきましょうか。」



「そろそろ時間だしな」



これ以上話しても大串くんは何も言ってこないとは思うが


バレる前に逃げるが勝ちだろ



Aも「そうね」と同意する。




「すいません土方さん

先約があるので今日は失礼しますね」




簡単に且つ丁寧に挨拶をするA。

その姿からはこれ以上聞くなそんなオーラを放っていた。



それを感じたのか何も聞かずに「じゃあな」と一言言って帰って行った。


「土方さん

今日のお祭り気を付けてくださいね？」


「……？」


意味は分かっていないのだろうが「おう」と答えて長い階段を下って行った。




「私も準備しなくちゃ」



「A」


「うん？」




「あいつは、高杉は生きてるよ」


俺としては慰めようとしたのだが




「知ってるわよ？

そんな簡単に死ぬ人じゃないわ」



必要なかったみてーだな




「それより銀時も気をつけてよ？」



「は？」




「なんだか今日は会えそうな気がするの

私の直感よ」


艶然とほほえみ、大人びている彼女でも

新しい何かに出会った子供のような楽しげな顔をしていた。

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