不器用な優しさ【高杉晋助】

１６気苦労 ページ26

【銀時said】



ったくAの奴


会えそうな気がするなんて嬉しそうに笑ってたのによ


十年ぶりのカップルの再会がアレだぞ？


あり得るか？



「銀時、あの女」


こいつに関しては気付いてねーのか？



「じーさんけしかけたのはテメーか？高杉」



まぁ気付いてないわけではねーのかもしれないと思いながら

わざと被せる俺は相当捻くれた性格なのだろう



「けしかける？

立派な牙が見えたんでなァ研いでやっただけさ」



「牙ねぇ、俺にはそんな立派なモンには見えなかったけどなぁ」



「覚えてるか銀時、俺の作った鬼兵隊を」



「……。」


いきなりの昔話に俺は返事をしなかった


「そこに三郎という男がいてな」



間を置いて語りだした高杉

俺は無言を通し、次の言葉を待った


「そいつァ剣の腕はからっきしだが、機会にゃ滅法強ェ奴でな


そいつが言っていたのさ」



「俺は戦しに来たんじゃねぇ、親子喧嘩しに来たんだ」


「ってな

だが、戦には負け、鬼兵隊も復讐の憂き目に遭った



自分の息子の首が河原にさらされているのを見た奴は何を思っただろうな」




悲しい事実であるが、どこか楽しそうでもある高杉


昔は肩を並べ、同じ戦場に立った仲間だったが

こんな顔を見ると今は違うということを痛感する



咄嗟というか、ほぼほぼ無意識状態で掴んだ高杉の刀


想像以上に力が入っていたようで掌からなかなかの量の血が流れる



「お前とこうして話しているのが俺でよかった

ズラやAにゃ見せらんねぇな」

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