不器用な優しさ【高杉晋助】

高杉晋助生誕祭２ ページ18

【高杉said】



「何か問題でも？」



わざとらしい笑顔を向けるA



「いや、何もねェさ」




惚れた弱みという奴か




「晋助、早く」




「あァ。


にしても幕府の犬にでもみつかりゃ大事だぞ」



「大丈夫


私が保証するわ」



根拠は全く見当もつかないが、彼女の言葉を疑うようなことはなかった。


「それより」



あからさまに不機嫌そうな顔で肩越しに振りかえる



「そいつァすまねェな

確かにこんな機会は滅多にねェ」



Aの伝えようとしている事を俺は難なく理解した


「構え」ということだろう



前を歩くAについていくだけだったが


いい加減警戒を解いて彼女の隣に並んでやれば



「ふふ」と嬉しそうに笑う




こんな表情も態度もそれに対する俺の対応も


全て分かっての言動なのだろう





彼女でなければ面倒くさい女でしかないのだろうが




Aに関しては普段から甘えてくるタイプではないし、


鬼兵隊での業務もそつなくこなし、基本的に俺の仕事について必要以上に踏み込んでくることはない。

他にも、剣に留まらず銃や薙刀など多数の武器も使い分ける

才も相当なものだ。



二人になると甘えてくるのは昔からだが、仕事ができれば自然と任されることも多くなる


部下からも頼りにされていると聞くし、実質的に総督である俺よりも忙しいというのが現状だ




そうならば二人きりとはいかなくなる



こんなAも久しぶりだ




「A、どこに行くつもりだ」



「私の家」

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