74 永遠に ページ24
「うむ!満開だな!」
二人は煉獄の屋敷の庭に咲いている桜を眺めながら、縁側に座っていた。
Aが目覚めてから数ヶ月はまともに歩くことも叶わなかったが、血の滲むようなリハビリのおかげで普通に歩けるまでに回復した。
だが、激しい運動は出来る気配はなく、Aは苦虫を噛んでいた。
また怪我人が多く訪れる蝶屋敷に長く滞在していることを気に病んだAを見兼ねてか、煉獄はAを自身の屋敷に招き入れた。
決して万全ではない二人を帰すことに反対する胡蝶を他所に、煉獄は医者であるAがいるから大丈夫だ、と半ば強引に胡蝶の承諾を得た。
そして、煉獄は、柱を引退した。
やはり前の様には動けぬ身体のまま、柱の位に席を置き続けることに抵抗があった。
これからは育手として鬼殺隊を支えたいと産屋敷に伝えると快諾され、屋敷もそのまま使うことを許されていた。
「…そうだね。綺麗。」
「色々な所で桜を見るが、ここで見る桜が一番綺麗だな!」
「私のいた所にも、桜があった…。
けど、こんなに綺麗と思ったことはなかったな」
生き急いで来た二人に流れる、緩やかな時間。
「Aに会ってから、一年と少し、か。
もっと長いように感じるが、案外短いのだな」
「…そうだね。
向こうで生きていた時間より長く感じるよ」
暗殺者として、医者として、そして闇医者として過ごして来た向こうでの暮らし。
日々何かに追われて、安らげる時などなかった。
毎日流れる様に時間が過ぎ去っていった。
何の因果か分からないがここに来てから、同じ様に毎日が早く過ぎ去って行ったが、向こうとは違うもの。
一人では無かった。
胡蝶が常に気に掛けてくれていた。
自分と同じ様な境遇の宇髄がいた。
いくら突き放そうとも、太陽の様な笑顔を向けてくれる煉獄がいた。
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さくら(プロフ) - カケオレさん» カケオレさん、コメントありがとうございます!少し忙しくなってしまい、土日しか更新が出来ないんですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2022年3月31日 23時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 更新待ってます!頑張ってください! (2022年3月31日 14時) (レス) @page20 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2022年3月6日 1時