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― 二月前


「…ここは?」


ふと目を覚ました俺の目に飛び込んできたのは、自分の屋敷とは少し違う色をした天井。


ここが蝶屋敷だということに気付くまでにはそう時間はかからなかった。



俺は…、確か、上弦の鬼と戦って…。




目覚めたばかりの頭を回転させていると、ふと戸の開く音が聞こえてきた。


「…煉獄さん!

お目覚めになられたのですね」


身体が思うように動かなかったが、声で胡蝶が入ってきたことが分かった。


「胡蝶か。

うむ、どうやらしばし眠っていたようだな」


「そうですね。

一週間程眠り続けていらっしゃいました。

お身体の方はどうですか?」


胡蝶はどうやら定例の診察に来たところだったのだろう。


まだあまり上手く身体が動かないことを伝えると、胡蝶から衝撃の言葉を告げられた。


「Aさんが手術をしたといっても、まだ煉獄さんの身体の中は傷だらけです。

無理をせず、ゆっくりお休みくださいね」


Aが手術をした…?


その言葉で俺は意識を失う直前にAが自身の腹を切ったことをハッと思い出し、胡蝶にAのことを尋ねた。


Aの名前を聞くと、胡蝶の表情がひどく暗くなった。


「まさか!?」


「煉獄さん、どうか落ち着いて聞いてください。

Aさんは生きています。

…ただ生きている、と言えるのかは分かりません」


俺は腑に落ちないといった顔をしていたのであろう。


胡蝶が続けて答えた。


「炭治郎君の話によると、Aさんは自分の臓器を煉獄さんに移植をしたようです。

手術が終わったと同時にそのまま意識を失い、今も眠っていらっしゃいます」




自分の臓器を俺に…?



呆然としたまま、声を発しない俺を心配したのか、胡蝶は話を続けた。


「ですが、生きているということは生命維持に必要な臓器は最低限残っているということだと思います。

なのですぐに目を覚ますかもしれませんし、…覚まさないかもしれません」


「…そうか。

…胡蝶、すまないが少し一人にしてもらえるだろうか」


「あ、はい、分かりました。

しかし煉獄さんもひどい怪我ですので、後程詳しく診察させていただきますね」


俺の気持ちを察してくれたのか、胡蝶はすぐに部屋を後にした。

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さくら(プロフ) - カケオレさん» カケオレさん、コメントありがとうございます!少し忙しくなってしまい、土日しか更新が出来ないんですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2022年3月31日 23時) (レス) id: 8f829f7667 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 更新待ってます!頑張ってください! (2022年3月31日 14時) (レス) @page20 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2022年3月6日 1時

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