研究員はポアロにいる

日常 ページ3

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｢あ、Aさん！ いらっしゃいませ！｣





Aの徹夜続きで暗い顔に差し込む一筋の光…
今日も笑顔で接客をする梓は太陽のようだ。




｢いつものコーヒーとおすすめのスイーツをお願いします。｣




休日は｢いつもの｣カウンター席で、｢いつもの｣注文をする。
これが彼女の｢日常｣。



上司からは、出来るだけ報告書を持ち歩くな、と口を酸っぱくして言われているが、こっちの方が捗るのだから正直目を瞑って欲しい。



頼んだコーヒーを啜りつつ、AはPCのキーボードを叩く。


内容は先日起きた殺人事件の証拠品の検査結果。
犯人は逮捕済みで、｢眠りの小五郎｣…と言われている探偵の毛利小五郎の推理通り、凶器からは犯人の指紋が出た。


たまたま彼女もその場に居合わせていたので、自然に証拠品を持ち帰り、この事件の担当となってしまった。


最近は“誰かさん”が事件を呼び寄せているのか、そのようなことが重なり、おかげで彼女は報告書の山に埋もれている。


その“誰かさん”はたった今、Aの隣に座ったのだが。




｢うげ。｣


｢あ！A姉ちゃん！ こんにちは〜！｣




いやいや、絶対隣にいること知っててそこに座ったでしょ…と突っ込みたいことはさておき。


あからさまに嫌な顔をしたAとは対称的な、明るく笑ったコナン少年。


最近知り合ったばかりだが、なぜかこの子に居合わせる度に事件が起こり、彼女の仕事の量は増えている。



さらに、この少年は不思議なことに小学生の割には並外れた思考力、判断力、そして行動力を持ち合わせている。


そのせいか、たまにこの子が小学生では無いのでは？という彼女自身でもよく分からない結論が出てくる。


今現在、澄ました顔でブラックコーヒーを啜っているという理由も勿論含めて。








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