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微かに濡れる瞳が俺を捉えては申し訳なさそうに宙をさまよった。
「別に怒ってなんかないよ。お兄さんがそんなことで怒ると思う?」
「な…なーんだ、良かった」
「ふふ、Aちゃんは意外と礼儀正しいし、人の気持ち考えてるんだね〜、意外」
「何その言葉?フランシスさんでも腹立つなぁ」
いつもの半笑いで俺の頬をつまんだ。濡れ羽色の瞳がいたずらっぽく細くなる。
「や〜ん、Aちゃんたら怖ぁい」
「フランシスさん、私のこと無礼な女の子だと思ってたの?嫌だな、アーサーさんはそんなこと言わ…」
彼女の言葉を遮り、頬を掴む。その刹那、彼女は怯んだ様子で両手を胸の前で組んだ。
驚きが隠せないのか、大きな瞳が空中を泳ぐ。
「あのさぁ、Aちゃん。お兄さんでもさすがに…そこまでほかの男の名前が出るなんて、ちょっと我慢できないかも」
「ふら…しす、さん」
「そんなに、アーサーの坊ちゃんが好きならロンドンにでも行けば?」
「…!」
ぱ、と手を離し彼女を横目で見るとつままれた頬をおさえながら自虐的に笑った。緑色のピアスがキラリと光って俺の目を刺す。
「…なんて、嘘だよ。Aちゃんがアーサーのことが好きなのは知ってて、ちょっとだけ意地悪したかっただけ。」
「…な、なぁんだ」
彼女の濡れた瞳は、パリの向こう側を見つめていた。
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路(プロフ) - 藤子さん» おひゃあ、嬉しみ。あの世界観はめちゃめちゃスーパー性癖(語彙力)だからもうありがたいっていうかすごい好きです…()また合作しましょうね〜!! (2018年11月29日 22時) (レス) id: fae735e792 (このIDを非表示/違反報告)
藤子(プロフ) - 読んだ!!!私なんかの思いつきを文にしてくれてありがとう!!!!! (2018年11月29日 22時) (レス) id: 771e5159cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:路 | 作成日時:2018年9月16日 17時