第244話 ページ45
私はフロイの傍に駆け寄る。
「フロイ…」
そしてフロイに手を伸ばす。
だけどフロイは、そんな私の手を振り払う。
ﾊﾟﾁﾝｯ
乾いた音と同時に、手の甲に痛みが走る。
「フロイ―――――――――っ」
’
ロシアのラフプレイは続く。
光の顔に向かってフロイがボールを蹴る。
光は顔面にボールを受けながらもよろめいてからすぐにフロイを追う。
「やめろ！フロイ！」
私は、フロイの前に立ふさがる。
「フロイ！こんなサッカーはフロイのサッカーじゃない！」
「っ…」
ボールが私めがけて飛んでくる。
そのボールは私のお腹にめり込み、私は見事に吹き飛ばされる。
「っい……た」
でも、フロイの顔は今……
「大丈夫ですか？」
私は光に手を引かれ立ち上がる。
「光……」
私と光はみんなの方を見る。
「どうした？」
野坂の言葉に光が説明する。
「フロイは苦しんでいます。本当のサッカーがしたい。心ではそう思っているのに体が言うことを聞かないんだと思います」
もしかして……
「催眠暗示だよ…私にしたことと同じことを、また別の方法でしてるだと思う」
私の言葉に皆が思い出したようにはっとする。
「そういえばあの瞳、Aさんのときと同じ――――！」
「何かがロシアイレブンに暗示をかけてるのよ。でも…その何かがわからない…」
そう言うと野坂が言う。
「ロシアチーム全員を一斉にコントール出来るものさ」
野坂の言葉にアツヤくんがはっとする。
「イレブンバンドか？」
「彼らに暗示をかける、何らかのキーワードが表示されるとしたら…」
「それは違います。あの時、フロイたちは、誰もイレブンバンドを見ていませんでした。……もしかして…」
光が何かに気づいたみたいだ。
ピーッ。
試合が再開すると、光はすぐに走り出し、フロイに追いついた。
そして大きく息を吸うと…
「うわぁぁーーーーーーーー！！」
と大声で叫んだ。
「ひ、光？」
不思議に思ったけど、フロイは一瞬はっと我に返った。
けどまたすぐに元に戻ってしまう。
だけど、光はそれにより何かに気づいたみたいだ。
「何かわかったの？」
「音です。ロシアチームのイレブンバンドから、なんらかの音が出ているのかもしれません」
走りながら耳を澄ませてみるけど、何も聞こえない。
きっと私たちの耳では聞き取れない音がイレブンバンドから出ているんだと思う。
何とかしないと……！
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アルベルト - 242が２つあります (2020年5月12日 8時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月25日 0時
