第59話 ページ10
まだ、頭がズキズキ痛む。
「一星くん………」
一星くんに完璧に騙された…あいつ、次会ったら羽交い締めにしてやる……！！
違う！そんな事より試合……！！！
どうしよう……
「やぁ、やっとお目覚めかい？」
自動ドアが開く音がして、誰かが入ってくる。
足音はどんどん近づいてくる。
多分1人。
「誰ですか？」
「私は新条だ」
新条……？
「オリオン財団の理事長を務めるギリカナン様の側近をしている」
"オリオン財団"という言葉に警戒してしまう。
褐色肌で前髪をM字に分け、後髪をポニーテールにまとめた黒髪と、茶色の瞳のつり眼。
新条さんの見た目はそんな感じだった。
「私に何か用ですか？」
「君に話がある。だがもう時間がない」
時間が無い………？？
「どういうことですか……？」
「君を連れ去ったのは間違いなくオリオン財団の者だ」
でしょうね。
「君をここに連れてこいと言ったのは、ギリカナン理事長の命令だ。君をオリオンの使徒にしたいらしい」
私はその言葉に一瞬で全身が冷たくなるのが分かった。
「冗談でしょ…！？……私に、みんなを傷つけるなんて出来るわけない」
「………オリオン財団について、君に話したいことがある」
新条さんは少し早口で話し始めた。
少し焦っているようだった。
「オリオン財団の創設者は資産家のヴァレンティン・ギリカナン様だ。主に世界の貧困地域で支援物資の配給やサッカーの普及といった慈善活動を行っている」
「じゃあ、どうして八百長なんて……」
「ヴァレンティン様の死後、息子のベルナルド様に理事の権限が移ったときにサッカーをビジネスとして徹底的に管理することを目的にFFIを利用し、ルールに従った試合で世界経済を意のままに操るパーフェクトワールド計画を立ち上げたんだ」
じゃあ、元々悪い人たちじゃなかったんだ……
"パーフェクトワールド計画"……
「私は……」
新条さんが話を続けようとした時、自動ドアが再び開く音がした。
「…………ギリカナン理事長」
新条さんが振り返ってそう言う。
私は顔を見ようと顔を横に向ける。
そこには腰まである銀髪を一つに纏め、水色のつり目と右目の泣きぼくろが特徴の、青いスーツを着たお兄さんが立っていた。
若い……！！！しかもなんかイケメン…！！
「またすぐに大統領との接待で行かなければならない。君に、挨拶だけしておこうと思ってね」
微笑んだその人は、とても酷いことを命令している人には見えない。
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神崎 奏(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！めちゃめちゃうれしいです！！ (2020年4月13日 17時) (
レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白いです♪ (2020年4月13日 14時) (レス) id: b227610430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月3日 18時
