第54話 ページ5
き、嫌われた……？
いやまさか、あの天使に……？？？？
私が困っていると不動くんが近づいてくる。
「どうしたの？不動くん」
「こう言ってみろよ」
不動くんは私の耳元でニヤニヤしながら言った。
「え…それ言ったら氷浦の機嫌直るかな？」
「ああ。それどころか、仲が深まるぜ」
不動くんの言葉に私は瞳を輝かせながら、休憩している氷浦の方に近寄っていく。
「き、貴利名くん」
「えっ………！？っ」
そして氷浦の腰に腕を回して抱きつく。
「Aさんっ………！」
「貴利名くんのこと好きだから、もっと仲良くなりたくて………ごめんね。嫌いにならないでよ」
そう言うと、氷浦は顔を真っ赤にさせて私のことを引き剥がした。
「うぉっ……ゎ…怒ってません……！」
「本当！よかった〜氷浦に嫌われたらどうしようかと」
そう言った瞬間、氷浦がまたムッとした顔をして私のことを腕を掴んで引き寄せる。
「貴利名でいいです。さっき、呼んでくれたじゃないですか」
私の耳に口を近づけてそう言う氷浦の顔は、いつもより大人っぽく見えた。
「はい……っ」
思わず頷いてしまう。
「貴利名……」
そう呼ぶと、貴利名はいつもみたいに可愛い貴利名に戻って、瞬時に顔を真っ赤にさせた。
「やっぱり、今は……氷浦のままでいいです」
え………
「プラトニックボーイには衝撃が強すぎたか」
不動くんがニヤニヤしながらそう言う。
不動くんの方を見ると、みんなが氷浦に「ドンマイ」と言わんばかりの目で見ている。
▼
そして試合当日。
朝。
「士郎くん！タツヤ一緒に食べていい？」
私はバイキング形式の朝ごはんからてきとうにお皿に盛り付けて、向かい合ってご飯を食べている2人のところに行く。
「うん！いいよ」
士郎くんはそう言って自分の隣の椅子を引いてくれる。
紳士……！！
「ありがとう」
私は士郎くんの隣に座る。
「A、お前朝からどんだけ食うつもりだよ」
椅子に座った時、後ろから声がして上半身だけネジって後ろを向いて、上を向くと、灰崎が立っていた。
私は灰崎を見てから自分のお皿を見る。
そこには士郎くんとタツヤの約倍くらいの料理が盛られている。
「………今日、試合だし」
そう言いながらトマトを口に放り込むと、ヒロトがタツヤの背後から顔をのぞかせる。
「お前、今日試合に出れなかったらデブへの道まっしぐらだな」
ｸﾞｻｯ
落ち着け！AA！仮にもこいつは後輩！！
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神崎 奏(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！めちゃめちゃうれしいです！！ (2020年4月13日 17時) (
レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白いです♪ (2020年4月13日 14時) (レス) id: b227610430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月3日 18時
