第88話 ページ39
「お願い……誰にも言わないで…」
私は光の口を片手で塞いでそう言う。
「多分このことには、野坂くんと光と不動くんしか勘づいてないの……お願い。みんなには言わないで……！」
もしバレたら、その恐怖で私の手が震えてしまう。
情けない。
光のために犠牲になるなんて正義ぶってたくせに、いざとなったらみんなに知られるのが怖くて怯えてるなんて……
「今はまだ、何もしないから……皆と一緒にまだサッカーをしたいの……！お願い！」
そう言うと光は私の両手を握りしめる。
私の震えを止めるように、少し強く。
「言いませんよ。皆さんもまだ気づいていませんし、Aさんの居場所を奪いたいわけでもありません」
少し微笑んでそう言う光に、私の震えが止まる。
「ただ、Aさんが心配なんです！どうしてオリオン財団に…」
私は本当の理由を言ったら光が気にしてしまうと思って目を逸らしてしまう。
だけど勘のいい光は気づいたみたいだ。
「もしかして……オリオンが俺に何もしてこなかったのって…」
「光が気にすることじゃない！！」
咄嗟にそう言う。
光に気にさせたら、私が隠そうとした意味が無い。
「光、今日はもう部屋に戻って？もう夜も遅いし！」
私は光の背中を押す。
「でも…………はい。わかりました。おやすみなさい、Aさん」
光は何かを言いかけたが、言葉を飲み込んでそう言った。
私は光が見えなくなった所で、電話をかける。
すると３コール目で相手は出た。
「もしもし、AAです……」
〔やぁ。かけてくれるのを待ってたよ〕
電話越しに新条さんの声がする。
「私は一体、いつ動けばいいんですか？」
〔残念だが、私からは何も言えないんだ。君への指示はあの方以外誰も出してはいけないことになっている〕
あの方……？
「あの方って、ベルナルドさんですか？」
〔そうだ〕
あの人、何考えてるの？
私はベルナルドさんの水色の瞳を思い出す。
「わかりました。私はそれまで、日本の勝利のために試合を続けます」
〔ああ、次はこちらから連絡を取ると思う〕
「わかりました」
私はそう言って電話を切る。
ベルナルド・ギリカナン。
顔だけならイケメンなのに……
私はそう思いながら部屋に戻った。
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神崎 奏(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！めちゃめちゃうれしいです！！ (2020年4月13日 17時) (
レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白いです♪ (2020年4月13日 14時) (レス) id: b227610430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月3日 18時
