第76話 ページ27
私たちは紀村さんと別れてから私の部屋で少し話す。
私はベッドに座る。
「良かったんですか？あれが記事になるの」
「うん！皆に謝っとかないとね。勝手に感想言ってごめんねって」
「風丸さんに怒られますよ」
野坂くんが笑いながらそう言う。
野坂くんも、だいぶ丸くなったよね。
性格的な意味で……
みんな、変わっていくんだよね。
いい方向に。
一星くんも、前に進んだ。
なのに、私は……
私は刻印が入っている脇腹あたりを服の上からおさえる。
あの時、私の中で何かが止まった気がした。
命令されるまでは、いつも通り試合をするってことは、命令されたら私はみんなを傷つけることになるかもしれない――――――
3人は突然黙った私を不思議そうに見る。
「どうしたんですか？」
「みんな、FFI、絶対勝とうね」
そう言うと3人は私を見てから、3人で見つめ合った。
すると明日人と灰崎が突然立ち上がりだした。
「え……」
「じゃあ、おやすみなさい！」
「じゃあな」
2人はそう言って部屋を出ていった。
え………え……
なになになになに！怖い怖い！！
野坂くんと二人きりになってしまった……
「野坂くん、さっきの目配せで2人に催眠術でもかけたの？」
「かけてませんよ。それより、Aさんに聞きたいことがあるんです」
絶対何か勘づかれてるよ……
「な、何？」
そう言うと野坂くんは少し笑う。
「Aさんって、嘘つくの下手くそですよね」
なっ……！
「皆には気づかれていなくても、僕を騙し通せると思わないでください。Aさんは、オリオンに閉じ込められたんじゃなくて、別のことをされたんじゃないですか？」
ﾄﾞｸｯ
「例えば、仲間になれって、脅されたとか」
「そんな訳ないでしょ！仮にそうだとしても、私には仲間になる理由がない」
いつも通りの調子でそう言うと、椅子に座っていた野坂くんが立ち上がって、私の方に近づいてくる。
「僕がオリオン財団の理事長ならこう言います。Aさんがオリオンの使徒になったら一星くんを解放する」
野坂くんの言葉に私の心臓は鳴り止まない。
でも、ここで顔に出すと完璧にバレる。
絶対顔に出すな、私。
「あのねぇ、仮にそうだとしても私が皆に言わないわけないでしょ」
私は少し眉を下げてそう言う。
でも野坂くんは引き下がらない。
「言ったら、Aさんだけじゃなく、一星くんもどうなるかわからない」
確信をついた言葉に私の手が震える。
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神崎 奏(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！めちゃめちゃうれしいです！！ (2020年4月13日 17時) (
レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白いです♪ (2020年4月13日 14時) (レス) id: b227610430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月3日 18時
