第66話 ページ17
私たちは耳を疑った。
「ひ、光…大丈夫だ。兄ちゃんがついて…」
一星くんに何が起きているの………？
「入院していたのは、一星くん本人だったのです」
監督の言葉に、久遠さんが続ける。
「一星は"解離性同一性障害"。簡単に言えば二重人格だ」
二重人格………
「じゃあ、一星の弟ってのはやっぱり」
円堂が監督に聞くと、監督は真剣な顔で答えた。
「事故で父親と一緒に亡くなってしまったそうです」
「病院にいる時は弟、光くんの人格が。一歩外に出ると兄、充くんの人格が肉体を支配していたんだ」
野坂くんがそう言う。
二人の家族を奪った事故は、一星くんにそれほど大きなショックを与えていたという。
岩戸の文通相手の「ひかるさん」も、正体は一星くん本人だったということになる。
そして今、目の前でもがき苦しむ一星くんは、充くんにも光くんにもなり切れず、中途半端な状態で存在してしまっている。
「兄ちゃん！怖い！怖いよ！」
光くんの人格が現れれば、充くんの人格も現れる。
「大丈夫だ、光！光は、俺が、守って……うぅ…」
見かねた明日人が監督を見る。
「監督！一星を助ける方法はないんですか！？」
「あります。一星充くんは一星光くんとの人格統合を経て、初めて本来の一星くんに戻ることが出来るのです」
「人格統合？」
「二つに分裂してしまった人格を一つにするのです。しかし、失敗すれば両方の人格が崩壊してしまう危険もあります」
「そんな…！」
「一星くんが背負ってしまった過去を超える強い思いこそが、一星くんを救うことができるかもしれないと私は考えました」
監督の言葉に明日人が反応した。
「それってサッカー！」
サッカーが、一星くんを救う。
「しかし…」
風丸がそう言って一星くんを見る。
「一星くんがこんな状態じゃ……」
つくしちゃんも呟く。
「とても試合ができるとは思いません」
士郎くん……
「円堂…」
円堂の方を見ると、円堂はニカッと笑った。
「よし、やろう！」
「本気かよ？」
「一星の面倒見ながら試合しろってのかよ？」
「心配するな。ゴールは俺が守ってみせる！」
円堂の言葉で明日人が、笑顔になる。
「大丈夫！サッカーなら…俺たちが熱い思いを込めれば、きっとサッカーは一星を助けてくれるよ！やろうよ、みんな！」
一部を除いたイナズマジャパンの面々は、明日人たちの意見に乗った。
私ももちろん賛成だ。
一星くんを、助けるんだ！
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神崎 奏(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！めちゃめちゃうれしいです！！ (2020年4月13日 17時) (
レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白いです♪ (2020年4月13日 14時) (レス) id: b227610430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月3日 18時
