第61話 ページ12
「一星充」
ベルナルドさんの言葉に私の心臓がはねる。
「…………一星くんは、イナズマジャパンが助けます。弟のことも、私たちが何とかする。あなた達の助けなんてもういらない」
そう言うとベルナルドさんは可笑しそうに私の方を見る。
「仮に弟のことが何とかなったとしても、任務に失敗したオリオンの使徒は、排除される。それは試合中とは限らない。彼が1人で部屋にいる時に、連れて行くことも可能なんだ」
「―――――っ……任務を遂行できなかった人は、用済みって言いたいの？」
ベルナルドさんを睨みつけてそう言うと、ベルナルドさんは目を細めて私の頬に手を添える。
「オリオンに従わぬ者は、星屑となって消える」
ｿﾞｸｯ
「そんなの……ずるいよ……私が断れないの、わかって言ってるんじゃ……」
恐怖からか、追い詰められた悔しさからか、泣きそうになってしまう。
「私がオリオンの使徒になったら、一星くんに手を出さないって、約束できますか？」
そう聞くと、ベルナルドさんはゆっくり頷いた。
一星くん。私………
オリオン財団は警察をも手玉に取る組織だ。私たちが守れるなんて、断言はできない。
「………――――――ぁ…私を、オリオンの使徒に、してください」
そう言うとベルナルドさんは頬に添えていた手をゆっくりと下にスライドさせていく。
その手は私のジャージをお腹が見えるところまでたくしあげた。
「何してっ………」
「オリオンの使徒は、世界中から恵まれない子どもたちが財団の専門機関で教育を受け、別々のクラブチームへ送り込まれている。施設では過酷な特訓で身体能力を限界まで高め、死ぬ気の努力を繰り返しているんだ」
ベルナルドさんの説明に私は耳を傾ける。
「オリオンの使徒は身体のどこかに青いオリオン座の刻印が刻んであり、体温が上がると浮き出てくる。本来は訓練生の段階では刻印は刻まれないが、君ならもういいだろう」
そう言いながらベルナルドさんは私の脇腹辺りを、人差し指でオリオン座を描くようになぞる。
「では、始めようか。君と次会うのはまた先になりそうだが、命令が出るまではいつも通りチームで試合を頑張ってくれて構わないよ」
にこやかに微笑んで私の頭を軽くなでると、ベルナルドさんは部屋を出ていった。
すると、ベルナルドさんと入れ替わりで男の人が数名入ってきた。
そして何やら機械を設置し始めた。
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神崎 奏(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！めちゃめちゃうれしいです！！ (2020年4月13日 17時) (
レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白いです♪ (2020年4月13日 14時) (レス) id: b227610430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月3日 18時
