#1 ページ2
その後、昼前までは特に何も起こらなかったため、私は読書をしていた。
手に取ったのはハリーポッター(原書)である。
老婆もハリーポッター好きで、生きていた頃はよく議論もしていた。
ペラリペラリとページをめくっていくと、だんだん奇妙な感覚を覚える。
「……本が消えかけてる。」
本の存在自体が薄くなっていくと言えばわかっていただけるだろうか。文字が消えるのではなく本そのものが消えるのである。
本棚を見れば日本語版でも同じことが起きていた。
(朝の不確定要素ってこれのこと?)
何が何だかさっぱりわからないが異常が起きているのは確かだ。
気になって、外に出る。
すると、裏の方からガシャンと言う音がした。
(罠が作動した!?)
私は裏庭へ急ぐ。
なぜ罠があるのかと言うと、家が山の中にあるので、どうしても野生動物が出る。日によっては熊も出る。そのため、敷地を覆うように罠を設置してあるのだ。
「な……!?」
裏庭へ行けば、真っ暗な塊が罠に引っかかっていた。
ジタバタと動いている。どうやら人間らしい。
そして、棒のような、枝のようなものを振りましている。
(それにしてもどこから来たのか……。)
などと考えている場合ではない。
一刻も早く救助しないと、動けば動くだけ死ぬ可能性が高くなる。
「動かないで!Freeze!」
そう言えば、黒い塊は動きを止める。ジタバタと暴れたが故に、さらにズタボロになっている。
巻き付いたワイヤーやら糸やらを外していく。罠を設置した当人なのだから、外すのは容易だ。
罠を外している最中、真っ黒な塊と目があった。
土気色の顔に目立つ鷲鼻、沼を思わせる黒い瞳、なんとなく薄幸そうな顔。セブルス・スネイプで相違ないだろう。
私にとって、よく知っているような知らないような人物である。そもそも、なぜ2次元の人間がここにいるのだろうか?
「Are you OK ? Can you stand up ?」
英語で聞きつつ、ざっと外傷を確認する。
足先が糸がよく絡まっていた足首や腕などは服が切れ皮膚も切れている。頰の方も引っ掻き傷のようになっている。
(露出が少ない格好でよかったね、本当。)
そう思いながら、スネイプを助け起こす。
「とりあえず、どうぞ。」
私は家の中と案内したのだった。
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作者名:時 | 作成日時:2017年7月23日 21時