一杯目「拒まれ風穴」 ページ2
私は正直面倒臭いことは嫌い。
けれどやるべき事はちゃんとこなしているつもり。
今はマンションを買って一人暮らしをしている。
それくらいの贅沢はいいでしょ。
『一人暮らし』…私はその為にこの家を買ったつもり。
誰かを家にあげるなんてさらさら無い。
だから食器も生活用具も一人分しか持っていないんだよ。
この世界に来てから将来の相手とかそういうのも作るなんて考えたこともそんなつもりも無い。
かといってそんな深い友達も作るつもりもさらさら無い。
同居なんてもっての外。関係は広く浅くが丁度いい。
そう常に思っていた今日この頃、久しぶりに予想外の出来事が起きた。
A:……なにこれ
私の家に何故か穴が空いていた。
いや、穴だけなら…よく無いけども(見えるはずの向こう側が見えず…まるで異次元に繋がっているような穴のようだった。
家にこんな穴が空いてたら何が起きるかわかったもんじゃ無い、そう思ってその穴を少し観察することにした。
***
近づいてみると向こう側から風が来るのがわかる
冷たすぎず暑すぎず、ぬるめの風。
そこで何かを投げ込んでみようとボールペンを投げ入れようとした、が、何故か跳ね返った。
結界だろうか、手を近づけてみると
ﾋﾞｭｮｫｫｵｵｵｵｵ
A:…ふむ。
手が穴内に触れた瞬間風圧が勢いよくかかり侵入を遮ろうとしてくる。
まぁ私には関係の無い事だ。これくらいの風など、どうってことない。
片腕から上半身を入れると抵抗しているというのがわかるくらい圧が強くなる。
A:本当に先が無いなぁ…
まぁ効かないのだがね。
…とりあえず明日も早いので今日はあまり関わらないことにした。
A:触らぬ神に祟りなし……いや神は私か。
恐らく向こうの世界の黒魔術好きの連中が勝手に繋いだのだろう。
それかあの風神あたりか…
A:あの拒まれる風の量からしてこちら側からの干渉は望まれていないのか…
とりあえず今日は布団に入ることにした。
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作者名：桜蘭 | 作成日時：2019年8月15日 13時
