『...え?』 ページ45
「今日は楽しかったか?」
『はい、もちろん』
宇髄さんの質問に、私は微笑みながら答える。
朝から夜まで二人きりで出掛けたことはあまりない。
だから、一日中宇髄さんと一緒にいろいろな所へ行けて、本当に楽しかった。
そこで私はプレゼントの存在を思い出し、鞄の中からラッピングされた袋を取り出し、宇髄さんに差し出した。
『今日の事も含め、いつもありがとうございます』
「...開けていいか?」
『どうぞ』
中身は紺色のマフラーだ。
宇髄さんに引き取ってもらってから初めて迎えた、宇髄さんの誕生日。
その時に渡した手作りの手袋も、何年も使っていてボロボロになっていたのだ。
『あの手袋の代わりです。流石に手作りするには時間がかかるので市販ですけど...』
「Aに貰えるものならなんだって嬉しいから、そんな事いちいち気にしねぇよ」
ありがとな、と、宇髄さんは無邪気な笑顔を見せた。
「...次は俺の番だな」
宇髄さんはポケットから小さな箱を取り出すと、その中から何かを取り出し、私の左手を取った。
宇髄さんの手の温かさを感じる中、薬指に通された指輪。
『...え?』
指輪を嵌められた左手と、嵌めた本人の宇髄さんを交互に見比べる。
それが何を意味するのか分からない人などいないだろう。
「来年の四月、絶対にお前に伝えるから...A、俺と婚約してください」
宇髄さんの紅い大きな瞳が、私を見つめる。
混乱と、羞恥と、嬉しさと...いろいろな感情が入り交じって、それが零れるかのように視界が歪む。
『...いいんですか?私で...』
「俺が記憶を取り戻してから、どれだけ死に物狂いでお前を探したか知ってるだろ。前世でだって、愛した女を手に入れる為に半年費やしたんだぞ」
『.....っ』
目に溜まっていた涙が頬を伝った。
喧嘩して、励まされて、助けて貰って...あぁ本当に、この人には泣かされてばかりだ。
『.....来年の春まで、あなたの婚約者として傍に居させてください』
自分の薬指に嵌る最高のクリスマスプレゼントを撫で、真っ直ぐに私を見つめる宇髄さんに、私もそう返事を返した。
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名無し58428号(プロフ) - うおおおおついにか!これから楽しみです! (2021年12月14日 23時) (レス) @page45 id: d193f19839 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - ついに婚約…これからどうなっていくのかとても楽しみです!! (2021年12月14日 23時) (レス) @page45 id: f6ff1cdc98 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - 名無し58428号さん» 返信遅れて申し訳ありません!そう言っていただけて、こちらとしても作品を作る励みになります!ありがとうございます! (2021年12月14日 19時) (レス) id: f3367b760e (このIDを非表示/違反報告)
名無し58428号(プロフ) - 最高っですっ! (2021年12月8日 1時) (レス) @page39 id: d193f19839 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - お酒さん» 応援ありがとうございます!何とか乗り越えて来ました(笑) (2021年7月26日 19時) (レス) id: f3367b760e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時:2021年5月2日 23時