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捌拾玖 ページ14

『...そう、それが聞ければ十分よ。ありがとう』



Aはそう言って診察室を出ようと戸に手をかけるが、

ふと思い出した様に胡蝶を振り返った。



『胡蝶殿、炭...竈門炭治郎はまだ治療中よね』


「はい。傷も順調に治って来ていますし、今の時間帯なら機能回復訓練に参加していますよ」


『分かった』



Aは診察室を出ると、蝶屋敷の玄関ではなく訓練場へと足を進めた。

走り回る音を聞きながら、Aはゆっくりと訓練場の戸を開けた。

それとほぼ同時に、「そこまで!」というアオイの声が響く。


激しく肩を上下しながら息を整えていた竈門は、ハッとAの方へ顔を上げた。



「A!久しぶりだな!」


『久しぶり...どうして私がいると分かったの?』



Aが竈門の方へ行くと、竈門は自分の鼻を指差した。



「俺は鼻が利くからな。Aの匂いも覚えてたし、すぐに分かったよ」


『あぁ...相変わらず便利な鼻ね』



Aは以前彼と会ったとき、自分の感情を全て読まれた事を思い出した。

嘘の匂い、嫌悪の匂い、嫉妬の匂い...当時言われたのはこの三つだったが、

もっと深く探ろうと思えばそれ以上に多くの感情を読み取る事が出来るのだろう。



「そうだ。Aに紹介したい友達がいるんだ。

 俺はこれで今日の訓練は終わりなんだが、これから用事がなければ付いてきてくれないか?」


『えぇ、いいわよ』



梓の稽古の時間や時透が屋敷に来る約束の時間まで、まだ余裕がある。

「お疲れ様でした」と律儀に頭を下げた竈門に続き訓練場を出たAは、

竈門が使わせてもらっている病室へ案内された。



「ただいま...あ、善逸!まだ薬飲んでないじゃないか!」


「ヒィッ!?だってこれ苦いんだもん!死ぬくらい苦いんだもん!

 飲まないといけないのは分かってるけど飲みたくな...」



病室で寝ていた金髪の少年は、竈門に注意されると肩を揺らして叫び散らした。

しかし、その後ろにいたAを見ると、ピタッと口を動かすのを止める。

静かになったかと思えば、今度は顔を赤らめて騒ぎ出した。



「すんごい美人な女の子いるんですけどぉぉぉ!!??

 何!?可愛過ぎじゃない!?おいちょっと待て!何で炭治郎と一緒にいんの!?

 まさか彼女か!?堅物デコ頭のくせにぃぃぃ!!!!」


「善逸さん静かに!!あと早く薬飲んでください!」



騒ぎを聞き付けてやってきたアオイに怒鳴られ、再び病室に静寂が訪れた。

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桜餅(プロフ) - 織葉さん» ありがとうこざいます!作るの遅くなって申し訳ありません... (2020年2月16日 11時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
織葉(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください。応援しています!! (2020年2月15日 22時) (レス) id: f370ea2008 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2020年2月15日 22時

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