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捌拾漆 ページ12

竈門達と同じく那田蜘蛛山に任務に行っていた村田の説明が長く、

柱合会議が終わった頃には、高かった日も既に落ち切っていた。



「またね」


『えぇ』



山の入口で時透と別れ、Aは屋敷に帰った。

戸が開く音を聞き付けて、奥から梓が嬉しそうに出て来た。



「お帰りなさい、師範!」


『ただいま。もう遅いし寝ててもよかったのよ?』


「師範がいるって分かってないと、なかなか寝れなくて...」



梓もまだ幼い。

屋敷に自分一人だと心細かったのだろう。



『(最近は無一郎とばかり話していて、この子に構ってあげられていなかった)』



稽古やご飯を食べる時以外、Aは時透と話したり任務で屋敷を開けてばかりだった。



『...じゃあ、少し遅くなるけど、たまには一緒に寝ましょうか』


「はいっ!」



よほど嬉しかったのか、梓はパッと顔を輝かせ、大きく頷いた。

Aはすぐに夕飯と湯浴みを済ませると、梓と一緒に布団に入った。



『誰かと寝るのは何年ぶりかしら...』


「お姉ちゃんは他に兄姉はいないの?」



梓の言葉に、Aは僅かに目を伏せた。



『いるわ。私が生まれてすぐ鬼になってしまったから、姉との思い出はないけどね』


「そのお姉さん、今どうしてるの?」


『しばらく前に私が頚を斬った。でも寂しくはないの。

 人を喰った姉が地獄に行こうが、必ず来世で会うって約束したから』



『それに今は梓がいるし』と、Aは優しく梓の頭を撫でた。

梓はじっとAを見つめると、Aにギュッと抱き着いた。



『梓?』


「家族が死んじゃって、時透さんのことも忘れちゃって...。

 お姉ちゃんが寂しくないって言ってても、お姉ちゃんの心は、

 絶対に寂しい、悲しいって思ってると思う。だから、私がずっと傍にいる!」


『......』



それは梓だって同じだ。

両親に捨てられ、最愛の姉を目の前で殺された。



『(本当は、私が言わないといけない台詞のはずなんだけど...)』



Aは小さく笑みを零すと、梓の小さな身体を抱きしめ返した。



『ありがとう、梓。ほら、もう遅いから早く寝なさい』


「うん...おやすみなさい」



ずっと眠気を我慢していたのか、Aがそう言うと梓はすぐに眠ってしまった。



『...本当にありがとう』



眠ってしまった梓にもう一度御礼を言って、Aも目を閉じた。

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桜餅(プロフ) - 織葉さん» ありがとうこざいます!作るの遅くなって申し訳ありません... (2020年2月16日 11時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
織葉(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください。応援しています!! (2020年2月15日 22時) (レス) id: f370ea2008 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2020年2月15日 22時

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