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「ようこそおいで下さいました」


『あぁ』



藤の家門の家に着くと、そこの娘がAを出迎えた。



「闇夜様は、こちらのお部屋をお使い下さい」



部屋に案内してくれた娘に礼を言い、Aは中に入った。


Aは置いてあった紙と筆を借り、産屋敷へ任務を終了したという報告書を書いた。

それを自分の鎹鴉の足にくくり付け、空へ放つ。


娘が持ってきた夕飯を食べ終え、湯浴みをしてから部屋へ戻った。

綺麗に敷かれていた布団に入り、Aは意識を手放した。




早朝に目が覚めたAは隊服に着替え、藤の家門の家を出た。

その道中、自分と同じ階級である、柱の一人に遭遇した。


毛先が水色の長い黒髪に、ゆったりとした形の隊服。

そのぼんやりとしている目は、青い空に向けられている。


霞柱、時透無一郎だった。


十六と偽っているAだが、実年齢は彼と同い年だ。

しかし、十ヶ月で柱になったAと違い、時透は二ヶ月で柱となった。


人前では努力する姿を見せないものの、

柱になるまでの十ヶ月間、ずっと血の滲むような努力をしてきたA。


それを無駄にするかのように二ヶ月で柱になった時透が、Aは嫌いだった。


二人は何の会話もすることなく、目も合わせずに通り過ぎる。

しかし、Aの拳は力強く握り締められていた。



『お館様、ただいま戻りました』


「おかえり神威。子細は鴉からの文で認知しているよ。

 今日は非番だから、ゆっくりするといい」



報告に来たAに、産屋敷は優しい声色でそう言った。

しかし、彼女が休む訳がないと、産屋敷は分かっていた。



「もう下がっていいよ」


『御意』



Aを見送った産屋敷は、一つ息をついた。



「Aには、もう少し自分の身体を大事にすることを身につけてもらわないといけないね」



足を軽く引きずりながら歩くAの後ろ姿を見て、そう呟きながら。

伍→←参



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桜餅(プロフ) - 。さん» 起きてすぐだったのと、無一郎くんがいることを知らなかったので声は作ってません。説明不足で申し訳ないです... (2020年4月2日 15時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - ウルさん» そうなんですね、初めて知りました!私は瞳孔が青、私たちで言う茶色の部分が白のイメージでした(これでもわかりにくいかったらすいません...)コナンの「純黒の悪夢」という映画に出てくるキュラソーというキャラの目を見ると分かるかと思います。 (2020年4月2日 15時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
- 時透君に素顔を見られた時(参拾弐話)って、声つくってたんですか? (2020年4月2日 1時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
ウル(プロフ) - 透明の瞳というのは何色を表しているんでしょうか?本来透明の瞳というのは瞳の裏の赤い色になります。なのでさくしゃはどのような色を想像されたんでしょうか?(少し疑問に思いました。 (2020年4月2日 0時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 結衣さん» ですよね!いろんな人が鬼とハーフとか考察してましたが、それとは比にならないくらい辛い過去でした..だからこそ、やっぱり蜜璃ちゃんと結ばれてほしい!来世とかじゃなくて今二人が鬼殺隊として生きてるこの時代で!みんな頑張れ!! (2019年12月24日 1時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イリア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti  
作成日時:2019年12月1日 14時

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