彼女を照れさせたい我妻善逸の奮闘記【我妻善逸】

11.粧(めか)し込んでみる ページ16

「はい！出来たわよ！」



甘露寺さんに渡された手鏡で自分を見ると、本当に自分なのか疑う程の男前が写る。

その姿に俺は思わず「うわっ...」と声を漏らした。

実は昨日の任務の帰りに、こんな会話が聞こえたんだよね。



「あれ、いつもと髪が違うんですね」


「あぁ、ちょっと切ってみたんだ...どうかな」


「す、凄く格好良いです...」



そう言った女の人のあの照れ具合と言ったら！

直視できないのか目を逸らし、袖で真っ赤になった顔を隠していた。


つまり！恋人がいつもと雰囲気が違うと誰だってときめくはず！

俺だってAが髪をいつもと違う風にしてたらもう死ぬくらいときめく。←


というわけで、甘露寺さんに頼んでいろいろと粧し込んでもらった。

お礼を言って蝶屋敷に戻ると、恒例の縁側に向かう。

ほら、やっぱりいた。



「A！」


『あ、ぜんい...つ...？』



こっちを振り返ったAは、ぽかんとした顔で俺を見つめた。

いや可愛い、じゃなくて！



「どうかな？甘露寺さんに頼んでみたんだけど」


『...えっと...』



Aは俺の問い掛けに申し訳なさそうに答えた。



『出来ればそれ以上近づかないで欲しいな...？』


「うぇ！？もしかして似合ってない！？ごめんね！？」


『いや、似合ってるんだけどね？善逸はいつもの善逸の方が格好良いと思うよ』



Aがいい子過ぎて辛い。←

そっかぁ〜、元の方が格好良く見えてるんだ俺。

その言葉が嬉しくて、思わず「ウィヒヒ」と頬が緩む。



『あ、私しのぶさんのお手伝いの約束してるんだ。また後でね』


「うん、また後でねぇ〜！」



Aの足音が遠ざかってから気付いた。

俺喜び過ぎて当初の目的すっぽかしてたわ。←



十一回目



「あれ、A。顔が赤いが熱でもあるのか？」


『えっ、あ...大丈夫、気にしないで...！』



失敗...？


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ちゃくちゃくと成功率が上がっております。

そして二日遅れですがしのぶさんお誕生日おめでとう！！

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