最終話 ページ46
雲雀side
冷たい雨が僕らを濡らし
彼女の涙を見えなくした。
きっと、君は泣いていた。
泣くのは弱虫の仕業で
僕は弱虫を嫌っているはずなのに
どうしてか、その涙を拭いたくて堪らなかった。
Aが望んだ、最後の抱擁。
僕らの回りはこんなに冷たいのに
君は暖かくて
いつまでも、こうして君に触れていたいと
心のどこかで、願っている僕がいた。
ずっと、君と一緒にいたいと
願う僕がいた。
でも、それももう叶わない。
君に別れを告げたのは僕で
君に「二度と貴方の前に現れません」と、
言わせたのも、僕で。
なのに、君といた最後のあの場所に
こうして戻ってくる僕は
君より、弱虫なのかもしれないね。
もう、そこに君はいなくて
ただ、君の残像が残っているだけだった。
君に「さようなら」と言われてから
僕は振り返らなかったけど
曲がり角で、立ち止まっていたんだ。
そうしたら、君の声が、微かに聞こえてきて
「貴方のことが、大好きでした」
その時に、君に駆け寄れば良かったのかな。
でも、僕にはそんな感情分からなかったから
君にそう言われても
僕はどうしたらいいか分からなかったから
動けずに、去ってしまった。
けど、それでよかったのかもしれない。
あそこで駆け寄って、君に会っても
きっと僕は、君を傷つけるだけだろうから。
僕は、間違ってなかった。
そして、それはこれからも。
君と離れたくない僕がいるってことは
今回で、理解したよ。
そんな弱い僕、認めたくないけどね。
だから、これからそんな僕を
「僕」が塗り替えよう。
この先Aが、僕の前に現れることはないんだから
きっと、容易いことさ。
そして、いつか
完全な「僕」に戻ったら
きっと、この胸を痛め付ける君のことも
忘れられるはず。
「A……」
名前を呼ぶ度、締め付けられるこの心も
いつの日か
跡形もなく消えてくれることを願って。
降り止まぬ雨に消えていった君を想い
今はただ、溢れ出して止まらない感情の名を
この時の僕が、知らなくて良かった。
ただ今この時が、雨で良かったと思いながら
僕はやっと、歩き出した。
「さようなら、A」
___fin___
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- 恋愛運: ★★★☆☆
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- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
桜餅
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阪サッカー(プロフ) - こういう非恋の小説ってあまり読んだことがないからか、最後は本当に泣きそうになりました。ストーリーも凄く面白かったです。 (2020年5月28日 8時) (
レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - いつの間にか10,000hit超えてました！皆様ありがとうございます！ (2017年6月2日 22時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 大変申し訳ありませんが以前作っていたこの作品の続編的な作品を諸事情により削除させていただきました。詳細はメイン作品のお知らせにてご確認下さい。本当に申し訳ありません (2017年5月8日 18時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
練爛々(プロフ) - 桜もちさん» わかりました！暇があれば読んでみます (2017年4月19日 6時) (レス) id: 4f09b777b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 練爛々さん» ありがとうございます！続編的なものを書き始めましたのでどうぞお暇があればご覧下さい！ (2017年4月18日 23時) (レス) id: bdfc419512 (このIDを非表示/違反報告)
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