39話 ページ39
Aside
「貴女らしくないですね。随分、虚ろな表情をしている」
歩きながら、六道骸が言った。
「そう、でしょうか」
「ええ、以前僕と会った時の貴女の覇気が、今は微塵もない」
「そうですか……」
同じ相づちを繰り返す私を、彼が見た。
「かなり、疲れているようですね」
「……どうでしょうね」
また乾いた笑いを溢しながら言うと、彼は「仕方ありませんね」と、
私のうなじを叩いた。
くらり、と視界が暗転し、体が前へと倒れる。
「貴女は少し休んだ方がいい。今の状態では、
話も出来ないでしょう。暫く寝ていて下さい」
それが聞こえた後、私の意識は闇へと落ちた。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
冷気が頬を撫で、私は目を覚ます。
薄暗いコンクリートの部屋が広がっている。
「目が覚めましたか」
六道骸の声が聞こえた。
「ここは、黒曜ヘルシーランドですか？」
「そうですよ。気分はいかがですか？」
「……先程よりは良くなったように思います」
「それはよかった」
そう言って微笑む彼。
落ち着いた頭が、ようやく状況を確認し出す。
「ところで、何故私をここに連れてきたのです？」
私が問うと、彼は赤いソファに腰掛け、優雅に足を組んだ。
「なに、壊れた貴女を見たくなかっただけですよ。
ですから、雲雀恭弥の行動について教えて差し上げようかと……」
「飄々と嘘をつくのなら、私は帰ります」
そう言って彼を真っ直ぐに見つめる。
すると、彼は楽しそうに笑った。
「クフフ、やっと貴女らしくなった。その鋭い視線を待っていましたよ……
しかし、どうして嘘だと思うのです？」
「ですから、教えるもなにも、雲雀様が変わったのは貴方のせいでしょう。それを今さら……」
「違いますよ」
いつになく真剣な声で言われた。
思わず、疑念を抱く。
それに気づいたようで、彼は続けた。
「A、貴女は間違っている。雲雀恭弥が変わったのは、僕の所為ではない。
まぁ、きっかけにはなったかもしれませんが」
「……どういうことですか」
まだ完全に頭が回っていなかった私は
無意識に彼に聞き返し、そうして彼の話に、
彼のペースに飲まれていった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
桜餅
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
阪サッカー(プロフ) - こういう非恋の小説ってあまり読んだことがないからか、最後は本当に泣きそうになりました。ストーリーも凄く面白かったです。 (2020年5月28日 8時) (
レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - いつの間にか10,000hit超えてました！皆様ありがとうございます！ (2017年6月2日 22時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 大変申し訳ありませんが以前作っていたこの作品の続編的な作品を諸事情により削除させていただきました。詳細はメイン作品のお知らせにてご確認下さい。本当に申し訳ありません (2017年5月8日 18時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
練爛々(プロフ) - 桜もちさん» わかりました！暇があれば読んでみます (2017年4月19日 6時) (レス) id: 4f09b777b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 練爛々さん» ありがとうございます！続編的なものを書き始めましたのでどうぞお暇があればご覧下さい！ (2017年4月18日 23時) (レス) id: bdfc419512 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
