38話 ページ38
雲雀side
早く彼女のもとから去らないと。
君を僕から遠ざけないと。
彼女から、離れないと……
僕は、彼女に引き込まれてしまう。
……駄目だ。
僕は、彼女が嫌いなんだ。
嫌いで、視界に入れたくなくて……
―――――――――――……
『雲雀様』
――――――――――――……
優しい声で僕を呼ぶ。
花が咲いたような、そんな笑顔で僕を見る。
そんな人、今までいなかったんだ。
けど、君は………
……あぁ、ホントに、少し調子狂うよ。
君を考えるだけで、自分がこんなになるなんて、
情けなさと苛立ちに、荒く息をつく。
いや、彼女は泣き虫さ。
なんとか強引に自分の考えを曲げる。
彼女は泣き虫で、戦闘もできない……
僕の嫌いな、弱虫じゃないか。
よく笑うのも、よく泣くのも、全部彼女が弱虫だからだ。
「………ふぅ」
大丈夫、僕は彼女を嫌いでいられる。
今一度そう思って、僕は家へと歩みを進めた。
「白川さんって、彼氏いたんだなー」
不意に耳に届いた、生徒の声。
私服を着た並中生が、複数で歩いている。
こんな時間に何群れてるの、そう、トンファーを取り出そうとしてるのに
手が動かない。
「な、さっきのあの人、絶対彼氏だよな」
「いい雰囲気だったな、美男美女だし。羨ましいぜ」
「ってか、すっげー髪型じゃなかったか？」
「それな！ 顔はいいのに髪型おかしかったよなー！」
「ねぇ」
気づいたら、僕は彼らに話しかけていた。
「どんな奴だったの、そいつ」
「うわぁ、ひ、雲雀さんッ！？」
「煩いな、質問に答えなよ」
「あっ、えと、はい！ ……青くて、その、パイナップルみたいな……」
止まった。
言葉も、思考も、行動も、
世界が、止まった。
そんな髪型、１人しか知らない。
あいつしかいない。
Aがあいつといた？
Aが、あいつと一緒に………
傷ついた身体。
血を流したA。
脳裏によみがえる、あの特徴的な笑い方。
「どんな、だった」
「え、？ えぇっと……寝てる先輩を、彼氏の人が姫抱きしてて……」
止まった世界は真っ白で
僕の頭も目の前も、真っ白になった。
そして、その刹那
白い世界は
君で埋まった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
桜餅
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阪サッカー(プロフ) - こういう非恋の小説ってあまり読んだことがないからか、最後は本当に泣きそうになりました。ストーリーも凄く面白かったです。 (2020年5月28日 8時) (
レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - いつの間にか10,000hit超えてました！皆様ありがとうございます！ (2017年6月2日 22時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 大変申し訳ありませんが以前作っていたこの作品の続編的な作品を諸事情により削除させていただきました。詳細はメイン作品のお知らせにてご確認下さい。本当に申し訳ありません (2017年5月8日 18時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
練爛々(プロフ) - 桜もちさん» わかりました！暇があれば読んでみます (2017年4月19日 6時) (レス) id: 4f09b777b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 練爛々さん» ありがとうございます！続編的なものを書き始めましたのでどうぞお暇があればご覧下さい！ (2017年4月18日 23時) (レス) id: bdfc419512 (このIDを非表示/違反報告)
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