32話 ページ32
雲雀side
身体が焼けるように熱く、重い。
全身は激痛が滞り、動かせず、眼前は闇。
この感覚は、初めてあいつと戦った日と同じ。
あの時は、不思議な病にかかっていたから、
もう、ないと思っていたこの体たらく。
もう二度と、負けるはずなんて無かったのに、
今までの、「僕」なら。
僕らしくない、
弱く、なった……
あいつの言ったそれが響いて止まない。
僕らしいって何
僕って今までどうだったの
自分のことが理解できない。
僕がまた負けるなんて、絶対あり得ないのに、
負けた。
その信じがたい事実が、僕を惑わす。
いつもの僕なら勝ってた。
あんなの、咬み殺してた。
なのに、
Aがいたから………
……！
A？
そうだ、この前は君がいたんだ。
君があいつに捕まったから
僕は、君を庇おうと
守ろうとしたから。
孤高の存在である、この僕が
君と、一緒にいたから
群れていたから―――
だから、僕は負けたんだ。
僕が、群れる小動物と同等になったから。
僕は、君の
Aのせいで、弱くなったんだ。
あれに2度の敗北をしたという屈辱が
可笑しな方へと考えを進ませる。
それを止めてくれる冷静さも、理性も
今の僕にはなくて。
ただ、僕が「僕」でなくなったことが、
自分が弱いと受け入れるのが
恐ろしくて。
君が……Aさえ、いなければ
僕は、「僕」でいられたんだ。
君さえいなければ………
僕を「僕」でいさせない
いさせて、くれない
そんな君が
僕は………
大嫌いだよ。
・
・
・
・
・
軽くなっていく瞼。
瞳に映ったA。
「雲雀様！ よかった………」
目の下にクマをつくって
その目も赤く腫れさせて
今にも、泣き出しそうな表情で笑う彼女が
――――――て。
自分の中で湧いた感情に驚く。
何それ。
何これ。
こんなこと思うなんて、
やっぱり、僕は変わってしまったんだね。
やっぱり、原因は君なんだね。
なら、
それなら、僕はーーーーー
「……目障りだよ」
彼女の目を見つめ
「だから……今すぐ消え失せて」
僕は、
「僕」は、間違ってない。
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ラッキーアイテム
桜餅
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阪サッカー(プロフ) - こういう非恋の小説ってあまり読んだことがないからか、最後は本当に泣きそうになりました。ストーリーも凄く面白かったです。 (2020年5月28日 8時) (
レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - いつの間にか10,000hit超えてました！皆様ありがとうございます！ (2017年6月2日 22時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 大変申し訳ありませんが以前作っていたこの作品の続編的な作品を諸事情により削除させていただきました。詳細はメイン作品のお知らせにてご確認下さい。本当に申し訳ありません (2017年5月8日 18時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
練爛々(プロフ) - 桜もちさん» わかりました！暇があれば読んでみます (2017年4月19日 6時) (レス) id: 4f09b777b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 練爛々さん» ありがとうございます！続編的なものを書き始めましたのでどうぞお暇があればご覧下さい！ (2017年4月18日 23時) (レス) id: bdfc419512 (このIDを非表示/違反報告)
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