19話 ページ19
いつの間にか、そこにいた一人の男子。
見たことがない、少年だった。
「うるさいんだけど」
その少年は不機嫌そうに言った。
「あ、ちょっと待っててね、すぐ終わるから！ ………いいよ、落として」
女の子はいつもの懐っこい笑みをその少年に向けたかと思うと
冷たい声で、そう指示した。
ハッとして、私はもがく。
離れていく腕、浮いていく身体。
恐怖が募って、息が出来なくなってくる。
その時だった。
「キャアｯ！！！」
女の子の悲鳴が上がる。
男子たちは驚いてそちらを振り替える。
すると、「ギャァ！！」「ウワァ！！」とその男子たちの悲鳴も聞こえてきた。
そして、私を抱え上げていた男子は全員腕を離して―――
私の体が、落ちる。
この前と同じ、スローモーション。
怖い
やだ
怖いよ
お母さん……
・
・
・
ふわり、と体が浮き上がった。
ゆっくりとした動作で、屋上へと戻る身体。
「校内でそういうの、やめてくれる？」
そう言って、少年は私を地面に降ろす。
「………？？？」
少年の細い腕。
あんなに細い腕が、私を引き上げ、包み、
再び、ここへと降ろしてくれた。
「え……？」
何が起きたのか、その時私は分からなくて
ただただその少年を見つめていた。
「何？ 君も咬み殺されたいの？」
その言葉にハッとして周りを見ると、
女の子と、男子たちは屋上の隅で血だらけで伸びている。
「貴方が……や、ったんです……か？」
「うん」
「私も……そうするのですか？」
震える声で、無意識に聞いていた。
「別に、咬み殺されたいならそうしてあげてもいいけどね」
淡々と言う少年。
この人がどういう人なのかはわからないけど
この人は、私を殴らない。
そう気づいたとき、私の頬に涙が伝う。
「こわ、かっ……たっ……」
震えだした体を腕に収めながら
私は泣いていた。
私を縛っていた恐怖や苦しみが
一気に押し込んできたようで、耐えられなかった。
そんな私を、しばらく少年は見ていた。
そうして、座り込んでいる私に
目線を合わせるようにして少年もその場に座った。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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ラッキーアイテム
桜餅
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阪サッカー(プロフ) - こういう非恋の小説ってあまり読んだことがないからか、最後は本当に泣きそうになりました。ストーリーも凄く面白かったです。 (2020年5月28日 8時) (
レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - いつの間にか10,000hit超えてました！皆様ありがとうございます！ (2017年6月2日 22時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 大変申し訳ありませんが以前作っていたこの作品の続編的な作品を諸事情により削除させていただきました。詳細はメイン作品のお知らせにてご確認下さい。本当に申し訳ありません (2017年5月8日 18時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
練爛々(プロフ) - 桜もちさん» わかりました！暇があれば読んでみます (2017年4月19日 6時) (レス) id: 4f09b777b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 練爛々さん» ありがとうございます！続編的なものを書き始めましたのでどうぞお暇があればご覧下さい！ (2017年4月18日 23時) (レス) id: bdfc419512 (このIDを非表示/違反報告)
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