96話 手 ページ8
わずかに動いた彼の手を握った。
「雲雀さんっ、起きて……！」
「……？」
ゆっくりとその瞼が開かれた。
彼は不思議そうにこちらを見ている。
「どうして泣いてるの？」
「え……」
気がつけば私の頬は、涙で濡れていた。涙はまだ止まっていなかった。
そんな私に純粋な疑問を投げかける彼に何かが切れた。
「……っだって、雲雀さん、負けないって……帰ってくるって、約束した、のにっ……! 」
堰を切ったように溢れて止まらない、涙と感情。
「帰って、こないから…… 来た、のにっ、いないしっ……起きないし、ボロボロで……！し、死んじゃったのかと、思って……ーーーー」
そっと、私の頬に雲雀さんの手が触れた。
傷だらけで、ボロボロのその手は私の涙を拭う。
「ひば、りさん……」
彼は無表情で、無言のまま、私の涙を拭い続けた。
やがて手が降りて、ゆっくりと彼は起き上がる。
「君との約束を、僕が破るわけないでしょ」
当然のように言ったそれに私はムキになって言う。
「でも、雲雀さん帰って来なかった、じゃないですか……」
「まだ彼にやられっぱなしだからね」
「ボロボロで、負けてるじゃない、ですか」
私がそう言うと彼は少しムッとした。
「負けてないよ。僕が負けるとでも？」
「だって、こんなボロボロ……」
「大した事ないね」
フイッと顔を背けて言う姿は、なんだか可愛らしくて私は笑ってしまった。
「それより、なんで君がここにいるんだい？ その傷は何？」
「え、だから雲雀さんを探しに来たんです。これは……その、骸にやられちゃいまして」
情けなくてへらっと笑ったが、彼は不機嫌そうに顔をこちらに向けた。
「ふぅん、君があいつと戦うとは思わなかったよ」
「あはは……けっこうぼろ負けですけどね、雷発生させられちゃって」
「そう……ねぇ君、ここ壊せるかい？」
指差したのは前の壁。何やら頑丈そう。いつもに私なら壊せそうだが……
「すいません、今はちょっと……」
申し訳なさそうに頭を下げて言う。
「そう、じゃあそこの、取ってきてよ」
再び指差したのは彼の武器。私が取ってこようと腰を上げたその時、
グイッと強く腕を引かれた。
「なにっ……？！」
「A、伏せていて」
直後聞こえた爆発音。
その爆発によって前の壁が壊れる。
ふと横を見れば不敵に笑う、
最強の風紀委員長が、そこにいた。
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桜もち(プロフ) - 2万hit突破してた、みなさんいつもありがとうございます！ (2017年8月4日 17時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - こちらも10,000hit突破！！感動です……皆様本当に、いつもありがとうございます！！ (2017年1月30日 21時) (レス) id: 1907d70f44 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 甘楽さん» ありがとうございます！ですよね、細かく書きたかったんですけど、さすがにちょっと削ることにします！ (2017年1月29日 20時) (レス) id: 1907d70f44 (このIDを非表示/違反報告)
甘楽 - リング戦結構長いですよね… 何だったら戦闘シーン少し位削ってもいいと思います。 頑張ってください (2017年1月28日 18時) (レス) id: 2e2894c595 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 守護者戦、意外と長い……！ (2017年1月27日 23時) (レス) id: 1907d70f44 (このIDを非表示/違反報告)
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