105話 備える者達 no side ページ18
夜9時。
完全に静寂に包まれたことを確認すると、外に出た一人の女。
クルクルと髪を弄びながら歩くその女、急に立ち止まった。振り返って笑う。
「誰かな？」
夜の闇にそう問えば、出てきた男。
その姿を確認すると、女は固まった。男は歩み寄ってくる。
ポン、と頭に手が置かれた。
「久しぶりだな……天音」
優しい笑顔でそう言われれば、目から涙が溢れる。
「ディー……ノさん……」
ディーノと呼ばれたその男は、天音と呼んだその女を抱き締めた。
「元気してたか？」
「……っ、はい……！」
やがて二人は離れ、ディーノは天音の頬に流れる涙を拭った。
「ったく……泣くなよな、折角6年ぶりに会えたのによ」
「う、うるさいよ……笑うなって言ったくせに……」
「おま、そりゃ言葉の綾だろ！？ それに、嬉しい時はちゃんと笑っていいって言ったぞ俺は！」
「へなちょこのくせに……」
「あのなぁ！」
そうして2人は笑って、口づけを交わした。
会わなかった長い時間を埋める事は出来ないけれど、それでも自分がここにいる、と確かめるように。
涙が乾いた頃に彼女は言った。
「それで、どうして日本に？」
「あぁ、あれを……あいつらに届けに、な」
あれ、と置き換えたそれに彼女は驚く。
「そんな、早すぎるよ」
「俺もそう思う。だけど、あの人が決めたことだ。それに俺たち同盟ファミリーが口出せる問題じゃねぇ」
ディーノの言葉に天音はふわっと笑った。
「俺たち、か……嬉しいな……ホントに私を、まだファミリーとして見てくれてたんだ」
ディーノはへへっと笑った。
「何言ってんだよ、当たり前だろ？」
「反対者もいたでしょ？」
「んなことする奴は、俺の部下にはいねぇよ」
それに、と続けて服の袖をめくる。出てきたのはキャバッローネファミリーの刺青。
「俺はボスだぜ？」
「ふふ、知ってる」
天音はふと、夜空を見上げた。
空に散りばめられた無数の星達。
「大丈夫かな……」
「お前らしくないな、どうしたんだよ？」
ディーノが顔を覗き込む。すると天音は顔を赤くした。
「とんでもなく嬉しい事があったから、さ」
「はは、とんでもなく嬉しいことか、お互い様だぜ」
ディーノはそう言うと後ろから天音を抱き締めた。
見上げた星は美しく瞬いている。
これから起こる、嵐などこの星達には知る由もないのだったーーー。
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桜もち(プロフ) - 2万hit突破してた、みなさんいつもありがとうございます！ (2017年8月4日 17時) (
レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - こちらも10,000hit突破！！感動です……皆様本当に、いつもありがとうございます！！ (2017年1月30日 21時) (レス) id: 1907d70f44 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 甘楽さん» ありがとうございます！ですよね、細かく書きたかったんですけど、さすがにちょっと削ることにします！ (2017年1月29日 20時) (レス) id: 1907d70f44 (このIDを非表示/違反報告)
甘楽 - リング戦結構長いですよね… 何だったら戦闘シーン少し位削ってもいいと思います。 頑張ってください (2017年1月28日 18時) (レス) id: 2e2894c595 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 守護者戦、意外と長い……！ (2017年1月27日 23時) (レス) id: 1907d70f44 (このIDを非表示/違反報告)
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