80話 不安 ページ36
「待って！」
私の突然の大きな声に彼は歩みを止めて振り返った。
「待ってっ……待ってください！」
「何？」
彼にそう言われても何といえばいいかわからない。
ただただ、不安なだけだなんて。
それでも、彼に行ってほしくなかった。
「行っちゃダメな気がするんです、分からないけど……とにかくあそこには行かないで下さい……」
私の答えに彼は不思議そうに、でも不服そうに眉を寄せた。
「知らないよそんなの。僕が行かなきゃあのイタズラは止まらないんだ、どのみちふざけた犯人は咬み殺さないとね」
そう言い残してさっさと行ってしまおうとする雲雀さん。
私は彼の腕をつかんだ。
彼は鬱陶しそうに腕を振るけど、私は離さないよう必死でつかんで言う。
「お願いです、行かないでくださいっ……！！ お願いします、お願いしますっ……！！」
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もう、誰も失いたくない―――――…………
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ギュッと目を瞑り、今なお彼の腕をつかんで離さない私の頬に、白くて優しいあの手が触れた。
「A」
呼ばれて、彼を見上げた。
「これ以上、僕の並盛を汚すことはどうしても許せないことなんだ。
それに、君は僕が負けると思っているのかい？
僕はふざけたその犯人を咬み殺してくるだけだから。ちゃんと帰ってくるよ。
第一、まだ君にあの大きな借りを返してもらってないだろう？」
「はいっ……」
腕をつかむ力が自然と緩む。
雲雀さんは「それに、」と続ける。
「僕が負けるはずないでしょ、君の心配は無駄に終わるよ」
あぁ、やっぱり雲雀さんだ。
この人は最強で、最恐の風紀委員長、雲雀恭弥なんだ。
自信に満ち溢れ不敵に笑うその姿はまさしくそれで。
私の不安は薄れていって、ようやく彼の腕を離した。
「それじゃあ改めて、行ってくるよ」
凛々しい背中に圧倒されて、私は一言しか言えなかった。
「ご武運を……！」
応接室の窓から、彼の姿が見えなくなるまで祈り続けた。
どうか、無事で……雲雀さん。
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ささら(プロフ) - はじめまして、最近読みはじめました。文句とかクレームではないのですが、76話の夏祭りが夏休みになってるのですが、夏休みで大丈夫ですか？いきなりですみません。小説面白いです。続きも読ませて頂きますますね。長文失礼しました。 (2018年8月28日 12時) (
レス) id: 48abc9c141 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 気づけば20000hit突破！！本当に嬉しいです、皆様いつもありがとうございます！ (2017年3月28日 13時) (レス) id: 840f834652 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 甘楽さん» 気づいて下さって良かったです！おかげさまでノートも見つかってパート３を書いてるところです。これからもよろしくねお願いします(*^-^*) (2016年12月29日 19時) (レス) id: 7a3c0441dd (このIDを非表示/違反報告)
甘楽 - 復活したんですね!良かったです!下書きノート探し、頑張ってください (2016年12月29日 18時) (レス) id: 66e4a81c26 (このIDを非表示/違反報告)
桜もち(プロフ) - 甘楽さん» 本当にありがとうございます！ そう言ってくださって本当に嬉しいです！ お待たせして申し訳ありません、超亀更新ですが今日から更新再開します！ これからもよろしくお願いします！！ (2016年12月17日 14時) (レス) id: bdfc419512 (このIDを非表示/違反報告)
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