Episode ７０／二宮side ページ10
ご飯作って欲しい、と言われて下に降りていけばいたのは松本先生で。
いつもは大野さんなのに。
｢智くんはアトリエこもってるから今日はそっちに泊まるんじゃないかな？翔くんが熱あってさ、早退させてもらったの。｣
俺の疑問を汲み取ったかのように先回りして答えてくれる。
｢あ……なんか適当なもの作りますね。｣
お願いね、とだけ言って相葉さんに勉強を教え始めた松本先生を横目に料理を始めた。
・
｢そろそろ出来ますけど…｣
声をかければ相葉さんがペンを放り出して駆け寄ってくる。
それを呆れたように見ていた松本先生だったけど、櫻井先生を呼びに二階に上がっていった。
｢ねぇ手伝いはありがたいけど勉強しなさいよ？松本先生見てくれてるんだから。｣
｢ん？さっきまでしてたじゃん！ってかその呼び方もうやめたら？｣
そんな松潤、なんて呼べるわけない。
俺はいつの間に人との距離の縮め方を忘れたんだろう。
｢(あだ名1)ちゃん？｣
手が止まっていたらしく相葉さんに呼ばれる。
｢…ごめん｣
｢ねぇなんかあったら言っていいんだからね？俺ら幼馴染でしょ？｣
目を伏せた俺に目線を合わせて｢なんでも言ってね？｣って微笑んでくれる相葉さんは何故か頼れるお兄ちゃんに見えて目をそらす。
｢もう、ちょっと！｣
｢分かってますよ、そんなこと…｣
満面の笑みの相葉さんは、きっと背中を向けて言った俺の小さなつぶやきを拾ってくれたんだろう。
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作者名：みーたん | 作成日時：2018年1月6日 17時
