＿夢戦＿桜舞イ散ル (ページ3)

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2話ページ3

私は焦りながらも、こんなチャンス逃せば二度とないと思ったから、静かに頷いた。
すると会長はニコリと微笑んで、その場で私に会長としての証として7年間重宝されてきた王冠型のブローチを、私のジャケットに着けた。

「この場で交代だ。もう私は会長ではない。会長は君だよ、夢岸君」
私は今にも泣き崩れそうだった。

なれるわけがないと夢を見た会長にたった今なったのだから。
そもそも私はそんなにやる気などなかったのに。

……ああ、そんなこともあったな。
思い出した所為で余計に眠れなくなってしまった。

私はベッドから起き上がり、ベルをチリチリ鳴らした。
「……何ですか」

部屋のドアを静かに開けて、我が軍の広報、渉が入ってきた。

渉とは幼馴染だから、私自身も無礼な態度をとることは別にどうでもいいと思っている。
まぁでも仕事の上司と部下みたいなもんだから、一応敬語を使ってくれている。
プライベートなところでは普通にお互いタメ口だけど。

「寝起きで喉が渇いた。水、持ってきて」
「……いいですけど。俺を召使みたいに扱うのはやめてくださいよね」

「わかってるよ渉、いつもお世話になっております。」
皮肉を交えて渉に感謝を伝えると、ばつの悪そうな顔をして水を取りに行ってくれた。

素直じゃないなぁ、渉は。
私はそんなことを思いながらベッドを離れ、身だしなみを整えた。

丁度渉が私のお気に入りのマグカップに水を入れて運んできてくれた。
「ありがと」

私は全て飲み干して、部屋を出た。

「来夢。状況はどうなっている？」
「あ！会長。それがですね、とんでもないものが見つかったんですよ」

来夢が慌てた様子でデータを映し出す。
「ほらっ。見てください。離れているけどそれぞれ8か所に、魔石の反応が出ているんです」

レーダーで調べたその通りに、2,3㎞離れた位置にそれぞれ強い反応を示していた。

「……魔石なんて、珍しいな。」
私がぽつりと呟くと、コロコロと事務椅子で移動してきた愛亜が私に向かって言った。

「そういえば会長、知ってます？「星石」の噂。」
「ほしせき？……なんだ、それは。」

「有名な話なんですよ。この辺りには8つの星石があって、1つあれば小さな願い事をかなえる事が出来て、8つ全て集めれば大きな願い事を叶える事が出来るんだ。あ、でも小さい星石8つの代わりに、大きな星石一つでも、大きな願い事叶えられるらしいっすよ！」

愛亜が自信気に話した。