山田家に妹が出来ました

16話 ページ19

独歩side



それは、営業の仕事で外回りをしていた日のこと



｢よし……とりあえず今日アポを取ってた所は回りきれたな……
はあ……会社に戻ったら地獄の書類制作が……はあ……｣









.









｢うわあああ〜〜〜〜〜〜〜ん、い″ち″に″い″ぃぃぃぃぃぃぃ！！！！！｣
｢！？｣



な、なんだ！？子供の泣き声……！？



声のした方を見ると、大声で泣きまくっている女の子と、その傍でオロオロしているお姉ちゃんらしき子がいた

も、もしかして迷子か……？



行き交う人々は、その子たちを可哀想なものを見る目で見るだけで、立ち止まろうともしない



ど、どうする俺……
このまま見ないふりをするのは流石に良心が痛むが、まだこの後は仕事が……
きっと誰かが助けて……



｢うえぇ〜〜〜〜ん……｣
｢百子……な、なかないで……ｸﾞｽｯ｣



く……っ
きっと……誰かが……



｢えっと……君たち、どうしたのかな、迷子？｣
｢っ！……だれですか……？｣
｢ふえっ……おねえちゃ……｣



ああああああ、怪しまれてる！！
そうだよな、いきなり知らない大人に話しかけられたんだもんな
怖いよな、ごめんな！！



｢あ、えっと……俺は観音坂独歩って言うんだ、君たちの名前は？｣
｢……やまだ十子です
この子はいもうとの百子です｣



なるべく優しい声で名前を告げると、少しだけ警戒を解いてくれた、気がする


十子ちゃんと百子ちゃんか……

この黒髪に片方が緑のオッドアイ……どっかで見たことが……

う〜ん……気のせいか



｢百子ちゃんはどうして泣いてるの？｣
｢いちにいが……いちにいたちがいなくなったぁ〜〜〜……｣
｢いちにい……お兄ちゃんたちと来てたのか？｣



十子ちゃんと手を繋いでいる百子ちゃんが、縋るように俺の袖を握ってきた



待てよ……思わず声をかけてしまったは良いが……



これ、傍から見たら完全に幼女と不審者なんじゃ……！！
こんなところを知り合いに見られたら……！！
いや、俺はただ迷子を助けようとしてるだけだ、やましいことは何も無い！！
でもこれで何かあったら会社だけじゃなくて一二三や先生にも迷惑が……
いやいや、ここまで来たら後戻りは……



｢いちにい……じろにい……さぶにい、どこ〜……
うわあああ〜〜〜〜〜〜〜ん！！｣
｢う……うぅ……ｸﾞｽｯ｣
｢うわあああ、泣かないで、大丈夫！！
お兄さんと一緒に探そうな！！｣



やっぱり俺が助けてあげないと……！！

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