112.あゝ、アラバスタ！ (砂漠の歩き方) ページ17
砂漠の暑さは想像を絶するものだった。
前を歩くルフィがゼェゼェと荒い息をつきながら、なんとか歩いているが、彼の気持ちはよく分かる。
実際に自分の身を焦がすようなジリジリとした熱に顔が強張ってしまう。
「おい、A！ 大丈夫か？」
「うん。エース大丈夫だよ。思っていたより暑さには耐性があったみたい」
「……無理すんなよ。なんかあったらすぐに言えよ」
エースが私の顔を覗き込むように確認をしてくれたのだがーー私ってそんなに頼り無さそうに見えるのかなぁ？ と、彼の心配は嬉しいもののやや複雑な心境になる。
そんな私の心境を読み取ったのか、エースは「おれが心配なだけだ。お前がどうこうじゃねェ〜からな」と、笑ったあとコートの上から頭を撫でられた。
「ありがとう」
私もエースの笑い顔につられるように、笑顔を向ければ『ちっ』と、どこからか舌打ちが飛んでくる。
音の聞こえてきた方を見れば、ゾロとサンジがやや重たげな視線で私とエースの事を見ていた。
……どした？
首を傾げて見れば、ゾロからはため息がサンジからは苦笑いを返されてしまう。
いや、だからなんだ？
「難儀な奴ら」と、エースは隣でクククッと笑っているし。
ここ最近の彼らの態度は私には謎だらけだ。
もう1度首を傾げてみたものの、その謎を解明する前にルフィの言葉でそれは静止されられた。
「A〜、水くれ〜！」
疲労困憊
今のルフィを現すにはピッタリな言葉だろう。
「いいよ。でもあんまり取りすぎないようにね」
「一口よルフィ、口に含む程度」
ナミの忠告も虚しく、ルフィは私の持っている樽に顔を近づけ思い切り水を吸い込んでしまう。
いやいや、君の一口はどれだけ大きいんだい？
頬をパンパンに膨らませたルフィに後ろから鉄槌をくだしたのは、ナミとウソップだった。
『含みすぎだァ‼』
「おれにもよこせ。てめェ今のは13口分はあったぞ」
「まて、お前はさっき飲んだだろ‼ それより、何さりげなくAちゃんの樽から飲んでだ！ 顔近づけすぎだ、このクソゴム‼ 次はおれだ‼」
「なんだよ！ Aの樽、軽くしてやった方がいいだろ〜が！ だいたいお前ら何すんだ。吐いちまったじゃねェか‼ 今のなしだ‼」
いつのまにやらサンジまで加わって、揉めている。
……疲れないのかな？
ははは、とどこか乾いた薄笑いを浮かべて彼らを見てしまう。
ーー砂漠を越えるのは思っていた以上に大変そうだーー
113.あゝ、アラバスタ！ (砂漠の歩き方 2)→←111.あゝ、アラバスタ！ (国の悲哀 4)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 561人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！よろしくお願いします^ ^ (2021年5月2日 18時) (
レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 返信ありがとうございます！また更新してくださって嬉しいです！これからも応援しております。 (2021年5月1日 18時) (レス) id: 7e246103d6 (このIDを非表示/違反報告)
奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» 初めまして！コメントの返信が遅くなってすみません。連載この連休で少し進める予定です。アリスさんにこの連載を好きと言っていただけて、すごく嬉しいです！頑張る気力が湧いてきました笑(^^) (2021年4月29日 14時) (レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 奏さん初めまして！いつもこの作品を楽しく拝見させていただいております。この作品はもう更新しないのでしょうか？私はこの作品が凄い好きなので、良ければまた更新再開して欲しいです！ご検討よろしくお願い致します。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: d582cbc40a (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑炭酸(プロフ) - 夢主愛され最高ですよね！！ お悩み中なのですね！救済していただけると私はすごく嬉しいですが死んだとしても奏様のこの作品大好きです！これからも応援してます！ (2021年1月16日 18時) (レス) id: 72cb3f7599 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奏 | 作成日時：2019年9月25日 19時
