111.あゝ、アラバスタ！ (国の悲哀 4) ページ16
「っう……！」
砂は一瞬にして私達を包み込む。足にしっかりと力を入れていないと、風と一緒に呑み込まれてしまいそうだ。
砂嵐が私達を通りすぎると、ルフィが何かを見つけたのか走り出す。
「A、大丈夫だったか？」
「うん。エースのおかげで」
エースは私の頭をひと撫でして、ルフィの向かった方へと歩き出した。もちろん、私も。
そこで見たものは……
命が失われた人の亡骸ーー。
ビビは悔いるような顔でそっと亡骸を持ち上げる。その手は確かに震えていた。
「国の平和も……王家の信頼も……雨も……‼
町も……そして人の命までも奪ってこの国を狂わせた張本人がクロコダイルなの‼
……なぜ、あいつにそんなことをする権利があるの⁉」
ビビの悲痛な声が響いている。
その響きはこの枯れたエルマルの町の中に吸い込まれていくようだ。
私は……彼女になんて言ってあげられる？
彼女の痛みが怖いくらい自分の中に流れ込んでくるのに。言葉が見つからないーー。
不甲斐ない自分に下唇を噛み締めてしまう。
『……私は、あの男を許さないっ‼』
1度耳にしたら、忘れることなどできないような悲しいソプラノの声。
私は思わず駆け出し、ビビを自分の腕の中にギュッと抱きしめた。
彼女を救う言葉はかけてあげられないけれど、それなら少しでも支えてあげられるよう、この思いを行動で伝えよう。
ーー側にいる。一緒にいると……。
私がビビを抱きしめると同時に聞こえてきたのは近くの家々が崩壊する音。
「……ったく、ガキだなてめェら」
ビビと一緒に音のするほうに視線を向ければ、ルフィとサンジ、ウソップが倒壊した建物からこちらに向かって並んで歩いてきている。
その様子から彼らの思いが強く伝わってきた。
「さっさと先に進もう。ウズウズしてきた」
ルフィは肩をゴキッと鳴らし目に力強さを宿し、そう意気込んでいた。
※※
「そーいえばよ〜さっきの砂嵐、なんか変なもんが見えたんだよ！」
「ルフィ、あんたなに言ってんの？」
「なんだよナミ！おれが嘘言ってるってのか？」
「そんな事より、今度砂嵐がきたら俺が守ってあげるからね〜。Aちゃん」
「え？ うん、ありがとう。でも自分でなんとかできるよ」
「てめェは黙ってろ、エロコック！ おいA！ なんかあったら言えよ……」
「……本当に大丈夫だよ」
「緊張感のない奴らね〜」
歩く先でAの空笑いとナミのため息が残されるのであった。
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奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！よろしくお願いします^ ^ (2021年5月2日 18時) (
レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 返信ありがとうございます！また更新してくださって嬉しいです！これからも応援しております。 (2021年5月1日 18時) (レス) id: 7e246103d6 (このIDを非表示/違反報告)
奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» 初めまして！コメントの返信が遅くなってすみません。連載この連休で少し進める予定です。アリスさんにこの連載を好きと言っていただけて、すごく嬉しいです！頑張る気力が湧いてきました笑(^^) (2021年4月29日 14時) (レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 奏さん初めまして！いつもこの作品を楽しく拝見させていただいております。この作品はもう更新しないのでしょうか？私はこの作品が凄い好きなので、良ければまた更新再開して欲しいです！ご検討よろしくお願い致します。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: d582cbc40a (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑炭酸(プロフ) - 夢主愛され最高ですよね！！ お悩み中なのですね！救済していただけると私はすごく嬉しいですが死んだとしても奏様のこの作品大好きです！これからも応援してます！ (2021年1月16日 18時) (レス) id: 72cb3f7599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏 | 作成日時：2019年9月25日 19時
