魔界サバイバル5日目part2 ページ33
『大丈夫かい?もう鳥たちは居なくなったよ』
できるだけ怖がらせないようにゆっくり近づく
ビクッ!! シャー!フーフー
猫は、僕の存在に気づくと体を跳ね上げ僕から離れてしまった。
『驚かせてごめんよ。でも、君の傷を手当てしてあげたいんだ。大丈夫だよ、君をいじめたりなんてしないから』
そう言って手を伸ばすが
『!!!』
猫は伸ばした手に驚き暴れ、ひっかかれてしまった、ひっかかれた場所からは血が流れていた。
ピクッ
先ほどまで暴れていた猫は、僕の血を見るとピクリと体を震わせた。そして、申し訳なさそうに頭を垂れてしまった。
そっか…怖かったよね…
『フフッ君は優しい子だね。大丈夫だよ。痛くないから、よかったら君の傷を手当させてくれないかな?』
そう言って僕は、自分の服の裾を破り傷を覆うようにして手当をするジェスチャーをした。すると猫は、ゆっくりと僕にすり寄った。
『ありがとう』
猫をなでようとしたとき手にまいていた服から血が滲み猫の傷口に垂れてしまった。
『あ、ごめんよ!!すぐに、ッ!!!!』
血が垂れた傷口は、少し焼けるような音がしたかと思うときれいに治っていた。
どういうことだ…魔界の生き物にとって人間の血は相当の価値があるという事なのか…
僕はしばらく固まってしまっていたがとりあえず血で治るならと手当を始めた。まぁ撫でるだけだが…
そして、僕は手当をする間にこの子が猫ではないことに気づいた。薄々勘づいてはいたが猫というよりライオンに近いし何より後ろ足は草食動物特有の蹄だった。しかも、しっぽは蛇のような生き物だった。
腕にしっぽを巻きつけてきたかと思えば蛇だったのだからものすごく驚いた。
『よし、もう大丈夫かな?折れてるところはないみたいだし、そこまで深い所もなくてよかったよ』
ニャオ
『うわ!びっくりした…君翼もあるんだね…
あ、折れてる…』
突然背中から翼が出てきたことには驚いたがすぐに片方の翼の真ん中あたりが折れていることに気づく
『骨折も治るのかな…?ちょっと触らしてね』
そう言ってからその翼の部分をやさしく持ち血を垂らすと骨がくっつき傷もきれいに治った。しかし、僕の血の副作用なのか治した羽の部分だけ白くなってしまっていた。
『ごめんよ…せっかくきれいな黒色だったのに…』
当の本人は、気にもしていないらしく羽が治ったことに気が付くと喉を鳴らし僕にすり寄った。そして、しばらくすると飛び立ってしまった。
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作者名:朔write | 作成日時:2022年2月8日 18時