56話 丘 ページ10
貴女side
『つ、つかれた…』
「坂道急すぎます…」
翌日、私たちはさっそく○○丘へと向かった。
だが、それまでの道のりが大変で。
情けないが、半分しかいってないところで座り込んでしまった。
「情けねぇなァ」
『悪かったわね』
「あー、なんだ。疲れて風邪ひかれんのも嫌だし、乗れよ」
『遠慮しとく』
ニヤニヤと銀時に声をかけられた。
悔しいが事実な為、特になんとも言えなかった。
はぁと溜息をつくと、銀時はわしわしと自分の頭を掻いて、そして私の前に背を向けてしゃがんだ。
嬉しかったが、思いだろうし何より恥ずかしいから断った。
「なんでだよ」
『おんぶなんてみっともないから、いや』
「我儘だな、ったく。ならこれでいいだろ」
銀時の眉間に皺が刻まれた。
ああ、ちょっと怒ってる。
なんてぼんやりと考えていると、ひょいと所謂姫抱っこをされた。
皆見てるのに、と、カッと全身があつくなった。
『やっやめ…おろしてよ!やだ!』
「おぶるのは嫌なんだろ」
『で、でも、これは…は、はず、かしい……』
視線を感じてジタバタと暴れた。
なんなんだと言いたげな銀時に、この鈍感と言ってやりたかった。
銀時の着流しをぎゅっと掴むと、顔が見えないように俯いて恥ずかしいと告げた。
「……おっまえ…可愛すぎか」
「A可愛すぎるアル!銀ちゃん、私がAを抱っこするネ!」
「ざけんなクソガキ」
『わ、私は良いから、アリアちゃんをお願い。依頼主だし、姫様だし』
銀時の意外すぎる反応にまた恥ずかしくなった。
ギャーギャーと私を挟んで?言いあう二人に、アリアちゃんをとお願いした。
「じゃあ俺がこのままAってことで」
『銀時はアリアちゃんね。神楽、手引いてもらえる?』
「勿論アル!!」
「……っおいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
このままだと言う銀時の腕から跳び降りた。
アリアちゃんの背を押してから、私は神楽に手を差し出した。
ぎゅっと握られた手が、あたたかかった。
*『ここが……○○丘』
「見晴らしが良いですね」
『素敵ね』
やっと、やっと到着した。
疲れたと息を吐いたが、苦労して来た甲斐があると思えるほど景色が美しかった。
桜並木がずらりと並ぶ。
新八と笑いあった。
「来たは良いけど、どうすんだ」
「あの…母の口癖を思いだしました」
機嫌が悪い銀時に苦笑いした。
おずおずと手を上げたアリアちゃんに、じっと注目をした。
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らいげき(プロフ) - coco@さん» わわわわわざわざ返信ありがとうございます;;本当ですか!!嬉しいです!もちろん!この小説大好きですー! (2015年4月25日 23時) (レス) id: 26c1beb9d2 (このIDを非表示/違反報告)
coco@(プロフ) - らいげきさん» らいげきさん、勿体無き御言葉ありがとうございます! では…ネタも固まっているので、これからものんびりやっていきますね^^ これからもお付き合いしていただけると嬉しいです! (2015年4月25日 17時) (レス) id: c0792c85fa (このIDを非表示/違反報告)
coco@(プロフ) - につしーさん» 勿体無き御言葉、ありがとうございます!それでは、ネタも固まっていることですし……これからものんびりやっていきます^^ これからも宜しくお願いします! (2015年4月25日 17時) (レス) id: c0792c85fa (このIDを非表示/違反報告)
らいげき(プロフ) - この小説、すごくきゅんきゅんしてとっても面白いので、個人的には終わらせて欲しくないです…!!(´・ω・`;) (2015年4月19日 21時) (レス) id: 26c1beb9d2 (このIDを非表示/違反報告)
につしー(プロフ) - この小説好きなので、終わるのは悲しいです 泣 (2015年4月18日 22時) (レス) id: ed9644c453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cocoa | 作成日時:2015年1月10日 9時