【銀魂】ふわふわな君を。

７話　酔い ページ9

貴女side


「う”…ぎぼぢわる…」

『昨日あんなに飲むから…。自業自得よ』

「さむ、い…」


翌朝。予想通り銀時は二日酔いになった。
椅子に横たわる彼に私が言い捨てると、彼はぶるっと震えた。


『格好つけて腕出してるからでしょ』

「うっせぇ。さっさと何か持ってこいアバズレ」

『お前いつかマジで殺すからな』


銀時は奇抜な着物の着方をする。
それを指摘すると、彼は舌打ち混じりにそう言い、カチンときて私はそう言った。
そう言いつつも、私は押し入れから布団をとってきた。


『ほら』

「おう」

『餓鬼みたいに“頭が痛い”だの、あーだこーだ言われるのダルイから、薬とか買ってくるわ』

「お前、俺をはめようとしてんのか」

『は？』


ふわっと掛けてやると、銀時は猫みたいに丸まった。
私が悪態つきながら、溜息交じりにそう言って出て行こうとすると、意味の解らない事を言われた。
思わず立ち止り、振り返る。


『何言ってんの、アンタ』

「お前が妙に親切だからよ」

『私は、いつだって親切よ。
馬鹿言ってないで寝てな、私は行ってくるから』


私が問うと、なんだか弱気な銀時が答える。
妙に彼が可愛くて。眉を寄せて笑った。
彼の「おう」という返事を聞いて、私は玄関へと向かった。


『…？ なによ、これ…』

「おはようございまー…わ！ビックリした、Aさん。
どうしたんですか？」

『こんなのが置いてあって…』


戸を開けてみると、ビニール袋が置いてあった。
手に取ると、中には二日酔いの薬やら歩狩汗が入っていた。
不思議に思っていると、新八が来て、私はそれを彼に見せた。


「銀さんに、ってことですかね」

『そうかもしれないけど…気味が悪い。
つけられていたのかしら』

「まあまあ、そう考えず、有難くこれ貰っちゃいましょうよ」

『そう、ね…』


新八は少し目を丸くした。
気味悪がる私に対し、彼はプラスに考えた。
彼から袋を受け取ると、二人で中へ入った。


「早ぇじゃねえか」

『買ってないわ。家の前に置いてあったから』

「俺のファンじゃね」

『馬鹿か』


銀時に先程の袋を見せた。
コイツも別に気味悪がったりしなく、むしろ喜んでいた。


『なんかちょっと熱っぽくない』

「あー？知らね」

『さっさと休みなさいよ。マダオ』


銀時のオデコに触れた。
心なしか熱い。
弱ってる彼に、私はビシッとデコピンをしたのだった。


(―Aってホント、桜みたいアル)

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