【銀魂】ふわふわな君を。

３５話　照 ページ37

貴女side


「チッ……オイA！」

『もう、さっきからなによ』

「俺も腹痛いつってんだろ」

『ちょ…！』


神楽に抱きつかれ、桂と新八の腹を擦って。
変な状況だとクスリと笑えば、銀時が舌打ちをして怒鳴ってきた。
何なんだと顔を顰めれば、彼は寝転がって、私の唯一あいている膝に頭をのせてきた。
所謂膝枕だ。


『アンタ…恥ずかしくないの』

「恥ずかしいのはテメェだろ？」

『うっさいアホ―』

ピンポーン…

『はーい！』

「いでっ！」


前と違う銀時に、普通に照れてしまった。
私が問えば、彼はニヤリと笑ってそうからかってきて、言い返そうとした時。
チャイムを鳴らされ、私は立ち上がり、ゴンと鈍い音を立てて床に頭を打った銀時など気にせず、玄関へと向かった。


『あ、お登勢さん』

「またアンタかィ。たまにはあの馬鹿にも出させなよ」

『そう思ってるんですけど、アイツがやるはずなくて。
どうしたんですか？』

「回覧板、持って来たんだよ」


戸を開ければ、そこに立っていたのはお登勢さんだった。
私を見た彼女は、銀時に働かせろと溜息をついていた。
それに苦笑いして問えば、回覧板を渡してくれた。


『ありがとうございます。
あ、最近、お腹の風邪が流行ってたりしませんか？』

「ああ、キャサリンが腹痛で苦しんでるよ。
なんでだィ？」

『今、神楽と新八と…桂が、物凄くお腹が痛いって言っていて』


礼を言うと、私は腹痛の事を問うてみた。
すると、お登勢さんは煙草の煙を吐きながら頷いていた。
彼女の問いに、私はハハと笑って答えた。


「なら、これから流行るのかもしれないねィ。
アンタも気を付けなよ」

『はい、ありがとうございます』

「―おい。長ぇよ」

『？！』


お登勢さんが気にかけてくれた為、私は笑顔でぺこりと頭を下げた。
階段を下りて行く彼女の背中を、何となくジッと見つめていると、後ろから腕をまわされ、抱きしめられた。


『なっ…なにすんのよ馬鹿！』

「冷えたらお前、風邪ひくだろうが。
あんま身体強くねぇんだから、無理すんなアホ」

『うっ…わかってるよ、バカ』


振り向けば、銀時が居た。
バッと離れて見上げれば、彼は溜息交じりにそう言った。
そう、実は私、強気な性格だが、身体はそんなに強くない。
季節の変わり目には、必ずと言って良いほど熱が出るのだ。
それを覚えてくれてた嬉しさと照れが混じり、私はそっぽ向くとすぐに中へと入った。

―…後日。三人の原因不明の腹痛は治った。

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