【銀魂】ふわふわな君を。

２３話　まよねぃず ページ25

貴女side


「おい」

『なに？』


無言で私が十四朗の手を引いてると、彼に声をかけられた。
私は立ち止まり、笑って振り向いた。


「―笑うな。ちゃんと俺を見ろ」

『なに、言ってるの？私はちゃんと見て』

「いや、見てない。そうやって笑って誤魔化して、逃げようとしてる。
目ェちゃんと見開いて、俺を見ろ。
それで零れるのなら、俺が受け止めて拭ってやる」

『…ごめ、ん』


十四朗の言葉は意味深だったのに、何故かギクリとした。
ハッと笑って否定しようとすれば、彼は喰い気味に私の痛い所をついた。
彼の真っ直ぐな瞳と視線が絡んで、痛い、逃げられない。
彼の言葉が胸にジワリと広がり、私は笑顔を止めて俯き、震える声で謝った。


「ったく、何でお前ら素直になれねぇんだろうな」

『こっちが聞きたいくらいよ。
さっき、ありがとね』

「何の事だ。俺は本当の事をあの馬鹿に言ったまでだ」

『そっか』


温もりがした。ああ、私抱きしめてもらってるんだ。
普段ならこういう事はしない奴なのに、と思うと嬉しかった。
私がさっきのことに対して礼を言うと、十四朗がまた庇うから、嬉しくてクスッと笑った。


『「……」』

『あ、あのさっ、ファミレスでも行って何か食べない？』

「そ、そうだな」


離れた途端、寂しさと恥ずかしさが込み上げた。
お互いに何も言えず、沈黙が辛い。
私はきっと紅いであろう顔をあげると、十四朗にそう提案し、彼が頷いたから歩き出したのだった。


＊『…やっぱり、間近で見ると凄い光景ね』

「お前も食うか？土方スペシャル」


ファミレスにて、頼んだ料理が来ると、十四朗はすぐにマヨネーズをかけた。
それを見て私が苦笑いすると、彼はそれを口にかっこみ、噛んで呑み込むと、そう問うてきた。


『うーん、じゃあ一口』

「ほらよ」

『えっ？う、うん―』


すっごく悩んだが、未知の世界に足を踏み入れるのもたまには良いだろう。
そう思って私が言うと、十四朗は無意識に所謂あーんをしてきて、私は戸惑いつつ口に入れた。
…うん、これは―。


『不味くはない、かも？』

「だろ？」

『美味しいとも言えないけど。
…あの馬鹿の小豆かけ御飯よりかはマシ―』

「んだとこのヤロォォォ！」

「『？！』」


決して美味しくは無いが、不味くも無かった。
それを伝えると、十四朗は嬉しそうな顔をしていた。
それにクスと笑ってアイツの事を言いかけると、突如私たちを怒鳴る声が。
振り返れば―。


『―何してんのよ、天パ』

２４話　マジ？→←２２話　スレチガイ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す