【銀魂】ふわふわな君を。

２２話　スレチガイ ページ24

貴女side


「何やってんだって聞いてんだよ。この税金泥棒が」

『え…なんで…？』


エレベーターに閉じ込められ、助けが来たかと思えば、それは銀時だった。
抱きあう私たちを見た彼は、何故か怒っていて。
私が弁解しようとしたら、彼が近づいて胸倉を掴んだのは十四朗の方だった。


「早く答えろ」

「なにって、見て解んねぇのかよ」

「俺の脳じゃ解んねぇから解るように説明しろつってんだよボケが」


銀時の怒気を含む声が、私の身体の芯まで届く。
怖い。純粋にそう思った。
十四朗がクッと喉奥で笑うと、彼はより眉根の皺を深く刻んだ。


「閉じ込められて不安がってた女を、抱きしちゃ悪ィってのか？」

「…なら、なんでお前の着流しはだけてんだよ」

「揺れた時に力がこもっちまったんだろうよ」


十四朗は、私を悪いようには言わず、むしろ庇ってくれてた。
銀時は舌打ちをして胸倉を離したが、未だに睨みつけたままだ。


『そ、そういうことだから！
別に、アンタが怒るような事じゃないでしょう？』

「おめーよ、コイツとデートなんざしてる暇があるなら、万事屋で雑用係で来いっての」

『デートじゃないし、私は雑用係でもないから。
大体、ほんとに何で怒ってるの？ななちゃんは？』


不穏な空気が流れる。
これ以上はマズイと思った私は、イイ感じに止めに入ったのだが。
銀時の売り言葉に思わずカチンときて、私は強く言い返した。


「それこそ、テメェには関係ねぇだろうが」

『ハッ…もう万事屋に居ないから？』

「っ、そうじゃな」

『私は離れててもメンバーだと思ってたけど、どうやら勘違いしてたようね』


銀時の言葉は、私の心を砕いた。
ガラガラと心が崩れる中、私は鼻で笑って問い、彼の否定も聞かずに一人先走る。


『まあ、しょうがないことね。アンタだから』

「A」

『ちょっとくらい顔出そうかと思ったけど、止めておくわ。
神楽と新八と定春と…彼女さんと仲良くね。
私も真選組の仕事に専念するわ。行こう、十四朗』

「お、おう」

「真選組の仕事ってなんだよ！おい―」


涙がこぼれないように、言葉でガードする。
思ってもいない事を口にして、私は自我を保つのだ。
ああ、まただ。コイツに名を呼ばれる度、崩れそうになる。
声は震えてた気がしたが、私は言いたいだけ言うと、十四朗の手を引いて銀時の横を通り過ぎた。
アイツは何か叫んでたけど、聞こえないふりを貫き通したのだった。

(本当に…これでお終いだ。)

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